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強度行動障害支援者養成研修とはどんな研修?目的や研修例を紹介

公開日:2022年7月25日 更新日:2024年3月25日

 
強度行動障害とは異常な頻度で、著しく他者や自分を害したり、傷つけたりしてしまう障害のことをいいます。このような強度行動障害の方を支援する公的資格として、強度行動障害支援者養成研修があります。  
 
本記事では強度行動障害支援者養成研修について、強度行動障害支援者の養成目的や、研修の例と注意点、就職に関して有利になるポイントなどを詳しく解説します。キャリア形成等に役立ててください。  
 

目次

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強度行動障害って何?

 

強度行動障害って何?

 

強度行動障害とは破壊的行動、自傷行為が異常に頻発する障害です。破壊的行動は自分だけではなく、周囲の他者にも及ぶため、大きな影響を与えます。
 
強度行動障害は知的障害や、自閉症などの精神医学的な診断ではありません。ただ強度行動障害の原因にはコミュニケーションのしにくさ、こだわりの強さ、感情や衝動へのコントロールが難しいことなどがあるため、自閉症や知的障害など、何らかの精神疾患に罹患している人がなりやすいと考えられています。
 
さまざまな年齢層で強度行動障害の症状がみられるものの、思春期以降に悪化するケースが多いのが特徴です。強度行動障害には特別な養育、療育が必要であり、この事業に従事する資格のある人を強度行動障害支援者と呼びます。

 

強度行動障害支援者養成研修とは

強度行動障害支援者養成研修とは強度行動障害の人を支援するためのもので、厚生労働省が認可する公的資格の一つです。研修を修了することで強度行動障害に対して理解を深めることができるほか、適切な支援計画の作成スキルや、適切な障害福祉サービスを提供するための技能・知識が身につきます。
 
強度行動障害は知識や技能がなければ、その症状や心理状態を把握するのが非常に難しいといえます。支援者養成研修を受講することで強度行動障害を持つ方の心理を把握し、各人の希望や意志に寄り添った支援が可能になると考えられるでしょう。
 
例えば強度行動障害の方は、たくさんのことを一度に行ったり、たくさんの人と一度に接したりすることが苦手なケースがほとんどです。これは本人がなかなか目の前で起こっていることを理解できず、不信感や不安感を感じているためと考えられています。
 
上手な対応の方法がわからないために、結果的に自分や他者を傷つける行動に走ってしまうのが、現在わかっている強度行動障害のメカニズムの一つです。
 
強度行動障害支援者養成研修とはこのような状態にある強度行動障害の方に対して、周囲で起きていることをできるだけ理解しやすく構造化し、適切に支援できる人を養成する研修です。

 

 

強度行動障害支援者養成研修の内容・期間・受講費用

強度行動障害支援者養成研修の内容や期間、受講費用などは、都道府県や実施する機関、企業によって異なります。自身の地域で行われている強度行動障害支援者養成研修について、それぞれ確認してください。ここでは一例を紹介します。
 

 

研修内容と研修期間

まず研修内容と研修期間について確認しましょう。
 
強度行動障害支援者養成研修は基礎研修と、実践研修とに分かれています。それぞれにおける内容や期間を解説します。
 

 

基礎研修

基礎研修の受講資格は、原則として、障害福祉サービス事業所などで知的障害、あるいは精神障害のある方への対応業務に従事する、もしくは今後従事する予定のある人と定められています。
 
研修内容の中心は強度行動障害の症状や特性に対する理解と、支援の枠組みを習得することです。
 
研修期間は2日間で実施時間は合計12時間ですが、1回目と2回目の受講が連日となることもあり、離れた日程となることもあります。研修の主催者に確認しましょう。
 

 

実践研修

実践研修の受講資格は、基礎研修を修了していることです。また基礎研修と同じく、原則として、障害福祉サービス事業所などで知的障害、あるいは精神障害のある方への対応業務に従事する、もしくは、今後従事する予定のある人と定められています。
 
実践研修の内容は、強度行動障害に対する環境支援や、チーム支援の方法、アセスメント、支援の評価方法、また危険な状況における対処法といった具体的な支援方法に及びます。また実践研修では、同じ職場で指導者として、働く人に支援のしかたなどを共有する方法にも言及があります。
 
研修期間は基礎研修と同じく2日間で、合計12時間です。開講日程は主催者によって変わるため確認してください。
 

 

受講費用

強度行動障害支援者養成研修の受講費用は、基礎研修、実践研修ともに2万円ほどに設定されていることが多いようです。ただし前述のとおり、都道府県や実施する機関、企業によって金額も異なるため、募集要項などで必ず事前確認を行いましょう。

 

社会人からキャリアチェンジで保育士へ

 

 

強度行動障害支援者養成研修を受ける際の注意点

強度行動障害支援者養成研修においては、いくつか注意しておきたいことがあります。この章では基礎研修と実践検収それぞれの注意点について解説します。
 

 

基礎研修の注意点

強度行動障害支援者養成研修の基礎研修の履修期間は、原則1カ月以内とされています。2日間にわたる研修の1回目を受けた後、1カ月以内に2回目の受講が必要です。
 
やむを得ない事情がある場合、2カ月以内の受講が認められるケースもあります。しかし2回の研修日程を最初に決定し、2回目の欠席や延期を認めていない研修機関もあるため注意してください。
 

 

実践研修の注意点

実践研修については原則2カ月以内の受講と定められています。実践研修では、やむを得ない事情がある場合について4カ月以内の受講が認められるケースがあります。
 
延期の対応可否については研修機関に問い合わせましょう。

 

 

強度行動障害支援者養成研修は就職に有利

強度行動障害支援者養成研修は就職に有利
強度行動障害支援者養成研修の研修修了者を雇用した施設は、加算要件の対象となります。いわば、雇用する側としてもメリットのある人材となるため、求職者側としては強度行動障害支援者養成研修を修了していると、就職に有利となります。
 
次項では各施設における加算内容を確認してみましょう。
 

 

各施設の加算内容

強度行動障害支援者養成研修の修了者を雇用することで得られる加算は、施設によっても違います。各施設の加算内容を解説します。

 

施設入所で支援をした場合の加算

施設入所の利用対象者は夜間や休日にも支援が必要な人や、入所しての自立訓練や就労支援が効果的であると判断される人、通所しての訓練が困難な人などです。こうした人のうち、強度行動障害に該当する入所者がいる場合、強度行動障害支援者養成研修の修了者を配置することで、加算があります。
 
まず実践研修の修了者を配置のうえ、支援計画シート等を作成しているケースでは、強度行動障害に対する支援体制が整っているとみなされ、1日あたり7単位の加算となります。
 
また実践研修の修了者が作成した支援計画シートをもとに、配置された基礎研修の修了者が強度行動障害の方に対して夜間支援を実施しているケースでは、実際の支援活動が行われているとみなされるために、1日あたり180単位の加算が定められています。

 

短期入所で支援した場合の加算

短期入所とは常時施設への入所とは違い、一時的に施設に入所するスタイルで、ショートステイとも呼ばれます。日常的に介護や支援を行っている家族が所用のあるときや休みたいとき、ケガや病気のときなどに利用するサービスです。
 
度障害者等包括支援対象者に該当する方が短期入所した場合にサービスを提供すると、1日につき50単位の加算となります。
 
加えて基礎研修修了者が強度行動障害を持つ方に対して支援を行うと、1日につき10単位の加算が行われます。

 

 

共同生活援助で支援をした場合の加算

共同生活援助とは定員10人以下の共同生活を行うサービスで、グループホームとも呼ばれています。
 
まず1日あたり360単位の加算となる条件について見ていきましょう。これはグループホームの入所者に重度障害者等包括支援の対象者が1名以上いる必要があります。加えて以下条件をすべて満たしていなければいけません。
 
・生活支援人を配置していること
・サービス管理責任者か生活支援人いずれかのうち、1名以上が実践研修の修了者もしくは喀痰吸引等研修(1号または2号)の修了者であること
・行動障害のある方が入所しており、施設に配置された実践研修の修了者が支援計画シート等を作成していること
・生活支援人のうち20%以上の人が、基礎研修の修了者または喀痰吸引研修(1号、2号、3号いずれか)の修了者であること
 
上記の「重度障害者等包括支援の対象者」とは、区分6かつ意思疎通が困難である等の一定要件を満たしている方に限定されます。ただし2021年2月からは、区分4以上の強度行動障害の方についても、1日あたり180単位の加算が定められました。
 
さらにグループホームについては、強度行動障害の方が体験利用する場合の加算要件が定められています。こちらはグループホームに強度行動障害支援者養成研修または行動援護従業者養成研修の修了者が配置されていることが条件で、条件を満たす場合は1日あたり400単位の加算があります。
 

 

児童発達支援・放課後等デイサービス

児童発達支援・放課後等デイサービスについては、1日あたりの加算単位が施設定員と事業所の形態に応じて変化します。事業所スタッフのうち1人以上が児童指導員、保育士、または強度行動障害支援者養成研修の基礎研修を修了していること、等の条件があります。
 
例えば定員10名以下の施設の場合、児童発達支援では1日あたり12単位。授業終了後の放課後等デイサービスでは1日あたり9単位、休業日のサービス提供には1日あたり12単位が認められています。
 

 

 

強度行動障害支援者養成研修はこんな方におすすめ

強度行動障害支援者養成研修では、障害の特性に対して理解を深めたうえで、実践的な内容を学ぶことが可能です。行動援護事業所、障害者グループホーム、放課後デイサービスといった介護や支援の現場で、より深い理解を以て、高い対応力を身に付けたいと考えている方におすすめです。
 

 

 

強度行動障害支援者養成研修にチャレンジしよう!

強度行動障害はそれ自体が病気として分類される種類のものではありませんが、生活に支障を及ぼすことのある障害状態であり、繊細な理解と支援を必要とします。しかし現在、強度行動障害に対する学習の機会は決して多くありません。
 
強度行動障害支援者養成研修は、強度行動障害について知見を深めることのできる貴重な機会であるとともに、求職の際には有利に働くこともある資格の一つです。今後、障害者支援や障害児支援の現場で活躍を検討しているのであれば、基礎研修、実践研修それぞれについて開講要件を確認し、ぜひ強度行動障害支援者養成研修にチャレンジしてください

サービス管理責任者の資格要件をしっかりとチェックし、一つずつ準備を進めて、障害福祉サービスの現場で必要不可欠な立場をぜひ目指してみてください。

 

 

 

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