保育士コラム

「保育実習」や「施設実習」に参加された在校生の対談インタビュー

保育実習や施設実習は、「初めてだと何を準備すればいいの?」「実習中はどんな学びがあるの?」といった不安がつきものです。 今回は、日本児童教育専門学校で保育福祉科に在籍するタカハシユミさん(2年生・保育補助経験あり)とムトウアユミさん(2年生・主婦)のおふたりに、保育実習と施設実習のリアルな体験談を語っていただきました。 さらに今回の対談には、おふたりを支え、丁寧に指導してくださった鈴木先生も参加。 実習前の準備や行事体験、学んだこと、後輩へのアドバイスまで 現場の“生の声”をお届けします。
目次
非表示
―子どもと関わる仕事をめざして。保育実習・施設実習に挑戦
Q:まずは自己紹介をお願いします。
タカハシさん:
タカハシユミです。保育福祉科に通っています。
将来は子どもに関わる仕事に就きたいと思っていて、今のところは保育士か幼稚園の先生かな、とまだ少しふんわりした気持ちで考えているところです。
ムトウさん:
将来は、もちろん子どもたちと関わることもしたいのですが、特に若いママたちが居場所に困らないような支援がしたくて。
たとえば、地域で安心して過ごせる場所をつくったり、行政との橋渡しができるような仕事がしたいと思っています。
―不安も期待もあったけれど「行ってよかった」と思える時間に。
Q:実習が始まる前、どんな気持ちでしたか?実際に行ってみて楽しかったことを教えてください。
タカハシさん:
実習前は、やっぱり日誌のことが一番不安でした。
授業中や先輩方からも「大変だよ」と聞いていたので「自分にちゃんと書けるかな」「2週間も続けられるのかな」と心配で…。
それから、子どもとの関わり方についても「実習生としてどう接したらいいんだろう」「自分の立ち位置ってどこなんだろう」と戸惑いがありました。
園の先生方に対しても、「怖かったらどうしよう」「どんなふうに指摘されるんだろう」と不安もありました。
でも、小さな子どもと2週間も続けて関わること自体が初めてだったので、一緒に遊んだり、行事に参加できるのはとても楽しみでした。
ムトウさん:
私が行った施設実習は、障害のある方が入所している施設での実習でした。
それまで、自分の人生の中でそういった方と関わる経験がほとんどなかったので、「どう接したらいいんだろう」「どんな場所なんだろう」と不安でした。
しかも、学校としても初めての実習先だったので、先輩からの情報もなく、まったくゼロからのスタートでした。
「どうしよう」と不安がすごく大きかったのを覚えています。
でも、実際に行ってみると、施設の方との関わり方や声かけの仕方など、たくさんのことを学べて。
話せない方とも、文字板や表情を通して気持ちを伝え合えることを知って「行ってよかったな」と思える実習になりました。
―「不安もあるけど、やるしかない!」少しずつ整えていった、実習前の準備。
Q:実習に向けて、持ち物や事前の予習、心の準備など具体的にどんな準備をしましたか?
タカハシさん:
学校の授業で「いくつか手遊びを覚えておくといいよ」と先生に教えていただいていたので、いくつか覚えて練習しました。
それから図書館で、今流行っている絵本や、季節の行事に合わせた絵本を調べるようにしていました。
服装は、動きやすくて保育にふさわしいものということでジャージなどを準備しました。
私の場合、2月の実習だったので寒さ対策としてヒートテックを着たり、脱ぎ着しやすいコートを選んだりして、外遊びにも対応できるよう工夫しました。
心の準備としては、「不安だけど、もうやるしかない!」という気持ちでしたね。
あとは、とにかく体調管理を意識して、「この日程を絶対に通いきるぞ」「先生方に迷惑をかけないようにしよう」という気持ちを持って準備していました。
ムトウさん:
私は、保育実習と施設実習の間がたった5日しかなかったので、すごくバタバタでした。
「保育が終わった!よし、次は施設!」と、気持ちの切り替えが大変でしたが、もう「この波に乗るしかない!」という勢いで行きました。
持病があって、疲れると片頭痛が出てしまうので、その点も不安がありましたが「行くと決めたからには、覚悟を決めていくしかない!」と腹をくくっていました。
準備面では、実習先のオリエンテーションで「部分実習があります」と言われていたので、学校の先生に相談しながらビッグブック(大型絵本)を使う案を立てました。
その内容を施設側に伝えて、事前にシミュレーションしながら準備を進めることができました。
ビッグブックは学校の図書館で借りたものです。
実際にやってみると、入所者さんたちがすごく興味を持ってくれて、近くまで来て絵本に触れてくれたりして。
「やってよかった!」と思える経験になりました。
インタビュアー:
先生に事前に、相談や質問をすることはよくあるんですか?
ムトウさん:
そうですね。
わからないことだらけなので、すぐ先生に聞くようにしています。
タカハシさん:
私も、日誌の書き方や「なぜこうするのか」といった疑問を授業中に先生に質問していました。
また、先輩が書いた記録の例を見せてもらったり、教科書の「目標の書き方」なども参考にして、情報を集めながら準備していました。
―節分の行事に参加して、子どもたちの反応を間近で感じられたのがうれしかった。
Q:印象に残っているエピソードを教えてください。
タカハシさん:
私が保育実習に行ったのは2月で、ちょうど節分の行事があったんです。
鬼が登場して、子どもたちが豆まきをするという内容だったのですが、なかには怖がって泣いてしまう子もいて…。
そんな中で、先生が鬼と戦って子どもたちを守ってあげる姿がとても印象的でした。
「これを持っていると鬼が来ないよ」と言って、イワシの頭を持っている先生もいて。
豆まきだけじゃなくて、節分の由来や意味もきちんと伝えながら行事を進めていたのがすごいなと思いました。
子どもたちも事前から「鬼役やる!」と遊びの中で豆まきを練習していたりして、行事当日だけでなく、その前後を含めた保育環境の作り方にすごさを感じました。
私にとっても初めての行事体験で、子どもたちと一緒に楽しめて、いろんな姿が見られて、貴重な経験になりました。
大変だったこともあって……ちょっと焦った出来事があったんです。
事前には聞いていなかったのですが、突然「絵本か紙芝居、好きなのを読んで」と言われて。
自分で本棚から選んで、たまたま手に取ったのが歌付きの紙芝居でした。
一応確認したつもりだったんですが、その歌を知らなくて…。
「やばい、歌えない!」と内心焦りながら、「もう歌わずに読むしかない!」と判断して対応しました(笑)
あのときは本当に焦りました。
―家族のようなあたたかさにふれて施設実習で感じた「つながり」の力
Q:印象に残っているエピソードを教えてください。
ムトウさん:
私は施設実習(障がい者入所施設)で、日中活動にも一緒に参加させてもらいました。
毎日ちがう内容で、カラオケやボウリング、すごろくなど、楽しい企画がたくさんあって、自然と入れてもらえる雰囲気がありました。
ボウリングでは、ピンを並べてくれる方が自然と現れたり、点数発表でみんなで盛り上がったり…。
入所者さんたちが本当に楽しんでいて、その輪の中に混ぜてもらえたことが、すごくうれしかったです。
カラオケでも、それぞれが好きな歌を披露して、まわりが手拍子したり「今のよかったね」と声をかけ合ったり。
入所者さん同士も職員さんも、さりげなく思いやりのある声をかけていて、まるで家族のようなあたたかさを感じました。
大変だったのは、2週目から毎朝9時半〜10時に「実習生で朝の司会をやってね」と言われたことですね。
「えっ、やるんですか!?」とびっくりしましたが、1週目で何となく雰囲気を見ていたので、ラジオ体操を一緒にしたり、学校で覚えた手遊びを取り入れたりして、持っている引き出しを総動員して取り組みました。
正直、大変ではあったんですけど「できることは全部やってみよう」と思ってやりきったことが、自信につながった気がします。
―子どもたちの姿から学んだこと、そして自分自身の成長。保育実習で得た気づきと課題
Q:子どもたちとの関わりの中での新しい発見や学びはありましたか?
タカハシさん:
最初は「知らない人が来た」という感じで、子どもたちに警戒されることが多かったんです。「誰?」って聞かれたり、特に0歳〜1歳の子たちはなかなか近づいてきてくれなくて。
でも、少しずつ距離が縮まっていって、2週目くらいには外遊びのときに「見たことある先生だ!」って声をかけてくれるようになったり、行っていないクラスの子たちからも「この間このクラスにいたよね」って言ってもらえたりして。
子どもたちは目の前の遊びに夢中なようでいて、実は周りの大人のこともよく見てるんだなぁ…っていうのは、新しい発見でした。
ムトウさん:
私は、保育実習の中ではあまり前に出すぎず、「なんとなくそこにいる」ように意識していました。
1週目は「なんかいたね」くらいの距離感で関わるようにしていたので、0〜1歳の子たちにも泣かれることもなくて。
先生から「この子、いつもすごく泣くんだけど今日は泣かなかったね」って言ってもらったことがありました。
“空気のような存在でいる”ことも、子どもとの関わり方の一つなんだなと感じました。
また、3歳〜5歳の子どもたちは異年齢保育だったので、クラスに関係なくいろんな子が話しかけてくれて。
年長の子が年下の子に「こうするんだよ」って教える姿もあったし、私が迷っていると「先生、それこうやるんだよ」って教えてくれることもあって…。
「次こっちだよ」って子どもたちがリードしてくれることもあって「なんて大人なんだ!」と思いながら、自然に溶け込んでいけたのが嬉しかったですね。
Q:実習の中で「自分自身が成長したなあ」と感じたことは?
タカハシさん:
自分自身が成長できたなと思うのは、「視野が広がったこと」です。
最初は、目の前の子どもだけを見て、「危ないことしないかな?」って、その子のことだけに集中していたんです。
でも、毎回担任の先生と反省会があって、「保育者は、全体を見て状況を把握することが大切」と教えていただいてからは、他の子どもたちの様子や、起こりそうなトラブルにも気づけるようになりました。
後半は、「あの子たち言い合いしてるけど大丈夫かな?」といったことにも気を配れるようになって、初めの頃よりも大きく成長できたなと感じました。
ムトウさん:
私も、施設実習を通してすごく視野が広がりました。これまで入所施設のような場に行く機会がなかったので、最初は少し身構えていたところがあったんですが…
実際に関わってみて、「こんなにもコミュニケーションって楽しいんだ」と気づかせてもらえて、自分の人生観にも大きな影響があったと思います。
どこかで勝手なイメージを持ってしまっていた自分にも気づいて、「まずは声をかけてみよう」「その人をもっと知ってみよう」と思えるようになったのは、大きな成長でした。
Q:もっとこうすればよかった!と課題のように感じたことはありますか?
タカハシさん:
振り返ってみると、課題もいろいろありますね…。たとえば、観察実習のときはメモを取ることばかりに気を取られてしまって、子どもとあまり関われなかったなと反省しています。もちろん記録も大切なんですけど、そればかりになってしまって…。
あとは、手遊びや絵本、紙芝居の選び方にも悩みました。いろいろな種類がある中で、「どれが子どもたちに合っているのか」がわからなくて。
事前にもっとリサーチしたり、先生に「この子たちにはどんなのが人気ですか?」って聞いておけば、もっと興味を引くような内容を選べたのかなと思います。
ムトウさん:
私も、「もっとこうすればよかった」と感じたことはたくさんあります。
たとえば、外遊びにあまり参加できなかったのが心残りです。室内保育の担当になることが多くて、「外で遊ぼうよ!」って誘ってくれる子もいたんですけど、「終わったら行くね」って言いながら、結局行けないことがあって…。
あのときに、「外で待ってくれてる子がいます」と先生に伝えることができていたら…と、あとから思いました。
でも、室内での活動ももちろん大切で。
その子たちが満足するまで遊ぶのも大事なので、そのバランスの難しさを感じました。
絵本の読み聞かせも、焦ってしまうことがあって。「ゆっくり、はっきり」と意識しているつもりでも、緊張すると早口になってしまったり、ページをめくるタイミングがずれたりして…。
もっと練習して、落ち着いてできるようになりたいなと思っています。
―保育士の仕事に対するイメージの変化。連携と情報共有の現場を見て気づいたこと
Q:保育士の仕事について、実習前と実習後でイメージが変わったことはありますか?
タカハシさん:
実習に行く前は、担任の先生がずっとそのクラスを見ていて、他のクラスのことはあまり関わらない、というイメージがありました。
でも実際に現場を見てみたら、園内の会議で子どもの様子を全体で共有していたり、他のクラスの先生たちも他クラスの子の名前を言えたりして…。
「えっ、みんなの名前を覚えてるの!?」って
正直、すごいなと思いました。
園庭で一緒に遊んだりする中で、自然と覚えられるのかなと感じましたし、縦割り保育(異年齢児が一緒に過ごすこと)のような形ではなくても、関わりを持つ機会が多いんだなと。
「このクラスだけを見ていればいい」ということじゃなくて、園全体で子どもを見ているんだということに気づかされました。
鈴木先生:
たしかに。
言われてみればそうですね(笑)
ムトウさん:
イメージの変化というと…ユミちゃん(タカハシさん)の言うように、先生同士がすごく連携を取っていたなというのは、私も印象に残っています。
たとえば、年長クラスで起こったことや、これからある行事のことも、0歳児クラスの先生たちがちゃんと把握していて。
「じゃあ、こうしていこうか」と自然に話が進んでいて、情報がみんなの頭の中に共有されている感じでした。
だから1日を通しても「ここが足りてないな」ということがないし、もし不足があっても、「じゃあサブの先生をこちらに回そうか」と、すぐに補い合っていたんです。
人数的にはギリギリな場面もあったと思うんですけど、それでも現場でしっかり連携が取れている様子が見られて、すごく勉強になりました。
―実習先の先生や他の実習生から受けた刺激。先生たちの言葉かけや連携に学ぶ、“伝え方”と“保育観”の多様性
Q:実習先の先生方や他の実習生と関わる中で刺激を受けたことや学びはありましたか?
タカハシさん:
はい。
先生方それぞれが、いろんな考え方や保育のスタイルを持っているんだなと感じました。
同じ園の中でも、クラスが違うと先生の対応や雰囲気が全然違っていて。でも、それがバラバラにはならず、うまい具合にマッチというか…
ちゃんと園としてひとつにまとまっているんですよね。
それぞれの先生の個性が活かされつつ、しっかり連携が取れていて。「こういうふうに話し合ったり共有したりして、保育園が成り立っているんだな」と学びになりました。
それから、先生方の子どもへの声かけや伝え方も、とても勉強になりました。
自分だったらつい「ダメ」と言ってしまいそうな場面でも、「ダメ」という言葉を使わずに、子どもが自然と動けるように促すような言い回しをされていて…。
「ああ、こういう言い方があるんだ」っていう気づきがたくさんありました。
鈴木先生:
なにか具体的な例とかありますか?
たとえば片付けの時とか、遊びをやめてお部屋に戻る時とか、「先生の言い方すごく上手!だから子どもがこんなふうに動くんだ〜」っていうような場面は?
ムトウさん:
たとえば、部屋に入るときの声かけでも、「〇〇だから入らなきゃダメだよ!」みたいな言い方じゃなくて「もうちょっと遊びたいよね」とか「じゃあ、これが終わったらお部屋に行こうか?」みたいに、子どもの気持ちを受け止めるような伝え方をしていて。
それでも子どもが「やだー」「まだやりたいー」ってなったら、「じゃあ先生先に入ってていいかな?」と聞いたりして。
子どもが「ダメ!(行かない)」って言っても、「どうしようか?どうやってお部屋に入ろうか?」って、一緒に考える感じでやりとりしていましたね。
そういうところが、すごく印象に残っています。
―実習を通して感じた「自分の強み」との向き合い方「できないこと」より「できること」に目を向けて
Q:交流などの中で印象に残ったことや気づきがあれば教えてください。
ムトウさん:
施設実習には、この学校からもう一人一緒に行っていたんですが、その方がピアノがすごく上手な方で。
私はピアノが全然得意じゃなかったので「どうしよう…私には特技が無いかも」と落ち込んでしまって…。
でも、私は製作や絵を描くことが好きだったので「じゃあ、自分の得意なことをやってみよう」と思って、実習先の先生に「こういうことをさせてもらってもいいですか?」と相談したんです。
具体的には、入所者さんと一緒に塗り絵ができるように、原画を描かせてもらってもいいですか?とお願いしてみました。
そしたら先生が「ありがとう」と言ってくださって、たくさんコピーもしてくださって。
次の日に日中活動に行ったら、入所者さんたちがその原画で塗り絵をしてくれていたんです!
それを見て、「ああ、やってよかったな〜!」とすごくうれしかったです。
「できないこと」に引け目を感じるんじゃなくて、「自分が得意なことを活かせばいいんだ」っていうふうに思えた経験でした。
もう、超プラス思考で(笑)。
―実習を通して見えてきた「なりたい保育士像」子どもと気持ちを共有し、寄り添える存在に
Q:実習を経験してイメージした「どんな保育士になりたいか」について教えてください。
タカハシさん:
はい。
私は、先生が「〇〇をします」と言うよりも、「今日〇〇したい」という風に子どもたち同士で話し合えるような、発言しやすいような場所をつくれる先生になりたいです。
もちろん、いろんな子がいると思うんですけど、なかなか発言できない子もいますよね。
そういう子が「自分から話したい」と思えるような、「自分のやりたいことを伝えてみよう」と思えるような、そんな声かけができる先生になれたらなと思っています!
ムトウさん:
私は、子どもといろんな気持ちを一緒に感じられる先生になりたいです。
たとえば「いやだった」と感じた子に対して、「いやだったよね」と共感できるような関係性というか。
「やりたくないけどやらなきゃいけない」って気持ちを歯を食いしばって我慢しているときに「ほんとはやりたくないよね」って気持ちに寄り添えるような、身近な存在になりたいなと思いました。
先生の声かけひとつでも、ただ否定するのではなくて、
「じゃあ、それをするためにはどうしたらいいかな?」と一緒に考えていけるような先生になりたいです。
―これから深めたい学びの分野得意を伸ばして、自信に変えるこれから磨きたい力と学びたいこと
Q :これからさらに学びを深めたいなと思っている分野はありますか?
タカハシさん:
う〜ん…。
鈴木先生:
実習に行ってみて、「この力はつけておいたほうがいいな」とか、「この先生のやり方、真似したいな」と思ったことはある?
タカハシさん:
絵本を読むときや、みんなの前で自己紹介をするときに緊張してしまって……。
その緊張って、子どもにも伝わってしまうんですよね。そうすると、話の幅が広げられなくなってしまって。
だから、自信を持てるようになりたいと思いました。
発表の場に慣れるには、やっぱり回数をこなすことも大事だなと感じます。人のやっている姿を見るのも勉強になるし、自分自身でも調整していけたらと思います。
そういう経験を積むことが大切だと感じました。
ムトウさん:
もっと深めたい分野かぁ…。
鈴木先生:
得意な分野ってことかな?
たとえば、ピアノを今から一生懸命に身につけようとは思わないでしょう?
さっき造形が好きって言ってたから、そういう方向性とか?
ムトウさん:
そうなんです!
得意なことはもっと伸ばしていきたいなと思っていて。
実習のとき、自分が描いた塗り絵の原画を使って、入所者さんが喜んでくれたのがとてもうれしかったので。
子どもたちにも「これ楽しかった!」「また作りたい!」って言ってもらえるような、そんな活動の“引き出し”を増やしたいなって。
そのためには、年齢ごとにどんな素材や活動が合っているのか、発達段階に合わせた知識ももっと深めていきたいです。
―これから保育実習に参加する後輩へ先輩たちからのリアルなアドバイス
Q:実習前に準備しておきたいことや心構えについて、これから保育実習に参加する後輩たちにむけてアドバイスをお願いします。
タカハシさん:
まず大事なのは、体調管理をしっかりすることです。
ムトウさん:
ほんと、それは大事!
タカハシさん:
それから、手遊びや自己紹介の仕方もポイントです。
わかりやすく、簡潔に。だけど、子どもたちが「それ知ってる!」「なにそれ面白い!」と反応しやすい内容にすると、子どもたちと話すときに結構盛り上がったりするかなって(笑)
私はポケモンの話をしたんですが、私が知ってるのは昔のポケモンで(笑)
「これ知ってるけどみんな知ってる~?」みたいな
たとえば私はアニメのキャラクターの話をしたんですが、自分が知っているのは昔のキャラクターで(笑)。
「これ知ってるけど、みんな知ってる?」って聞いてみると、子どもたちは「これも知ってるよ!」って図鑑を持ってきて教えてくれたりして…。
そういうやりとりで一気に打ち解けられました。
事前に流行りのアニメやキャラクターを少し調べておくと、実習中の会話のきっかけになって良いと思います。
鈴木先生:
そのキャラクターが好きなのは何歳くらいの子が多かった?
タカハシさん:
私が話したのは、4~5歳くらいの子たちですね。
パズルや図鑑がボロボロになるくらい使い込まれていて、絵を描いたり色を塗ったりして遊んでいました。
ムトウさん:
あとは、授業でやっている手遊びやペープサート、シアターなんかも本当に現場で活かせました!
課題として提出したものでも「一つ作ればいいや」と思わずに、ちゃんと丁寧に取り組んでおくと、そのまま実習で使えて役立ちます。
ピアノが得意な人は、みんなが知っている歌をレパートリーに入れておくと、それも立派な“武器”になりますよ!
「何か自分の得意なことを一個磨いておく」というのは大きな強みになるなと実感しました。
Q:後輩に伝えたい「これはやっておいたほうがいい」ということは?
ムトウさん:
健康管理!本当に、まずは「健康管理」だと思います。
寝不足は絶対にNGだし、特に実習中にダイエットなんてしない方がいいと思います(笑)
元気で体さえ整っていれば一日を乗り切れるので、健康第一です。
鈴木先生:
健康のためには、具体的には何をするの?
ムトウさん:
早寝早起きを意識すること。
食事も栄養バランスを考えて、たとえばお肉が好きでも週に何回かは野菜を食べるようにしていました。
それでも食が細くなってしまうくらいなら、好きなものをしっかり食べるほうがいいと思います。
あと、「自分へのご褒美を惜しまない」っていうのも大事!
私は「実習が終わったらこの高級パックを使う!」と決めて、それを楽しみに頑張りました(笑)
タカハシさん:
私は日誌を書くのにすごく頭を使って…甘いものが好きなのでついつい欲しくなってしまって(笑)
「ここまで書いたら甘いものを食べよう」とか、自分の中で小さなご褒美を設定して進めていました。
ムトウさん:
「このエピソードを書いたら食べよう!」みたいな(笑)
タカハシさん:
そうしているうちに、気がついたら「もう終わってた!」みたいな(笑)
自分の機嫌を取れる方法を見つけておくと、実習中も前向きに過ごせますよ。
鈴木先生:
しっかりご褒美用意するっていうのが大事なことなんだね!
ムトウさん:
そう!後輩に伝えたいことは「明確に自分にご褒美をあげる!」(笑)
Q:実習期間中のプライベートとの両立について工夫したことを教えてください。
タカハシさん:
私は月~土まで実習だったので、帰宅後は日誌を書いて寝る…の繰り返しでした。
日曜日は思いっきり寝て、心と体をリセットする日にしていました。
あとは、「実習が終わったらここに行こう」と小さな楽しみを計画したり、不安なことがあれば友達に相談したりして、自然と両立していた感じです。
ムトウさん:
私は子どもが3人いるので、実習前に家族会議を開きました。
「ママはこの期間、ご飯も作れないし、疲れて帰ってくると思う。だから協力してね」と伝えて、みんなにお願いしました。
そしたら想像以上に協力的で、息子が「今日は俺が作るよ」と言ってくれたり、娘が「もう片付け終わってるから、あとは寝るだけだよ」って声をかけてくれたりして…。
たくさん支えてくれたんです。
だから、「実習が終わったらあなたたちに還元するから!」と言っていて。
終わった日には「よし!今日は焼肉行くぞー!」って(笑)
本当に家族の協力ありきですね。
最初から「無理だよ〜」とオープンに話しておくと、家族も心構えができて良かったんだと思います。
Q:実習を乗り越えるために工夫したことはありますか?
タカハシさん:
私は、事前準備と心構えがすごく大事だと思います。
焦って負担にならないように、少しずつ「そろそろ始まるな」と心の準備をしておく。
2週間って長いので、最初から全力で飛ばしすぎると後半で失速することもあります。
「あと〇日あるし」と自分を調整しながら取り組みました。
ムトウさん:
私は、実習先の園がとても良い雰囲気だったこともありますが、「1日1学び」を目標にしていました。
「今日はこんな学びがあった」「じゃあ明日は何があるかな」と、小さな目標を立てて実習に臨むようにしていたんです。
「昨日できなかったから、今日はそこに挑戦してみよう」とか、自分なりに意識して毎日を過ごしました。
鈴木先生:
一歩一歩、ですね!
Q:実習が終わるときは、やっぱりさみしさはありましたか?
タカハシさん・ムトウさん:
ありました〜!
ムトウさん:
子どもたちが「明日も来る?」って言ってくれたときは
「ごめんね、もう終わりなんだ…」って。
タカハシさん:
発表会が近くて「発表会くるよね?」って子どもたちに聞かれて…。
「その日はもういないんだよ~」って答えるのがさみしかったです。

日本児童教育専門学校 講師
保育のコラム 他
保育のコラム 編集チームでは、保育士の方、保育士を目指している学生、社会人の方に、保育士のなり方や働き方、保育に関する情報を発信していきます。
保育士・幼稚園教諭免許の資格取得なら東京都新宿区高田馬場にある保育士専門学校の「日本児童教育専門学校」へお問い合わせください