保育士コラム

社会福祉士と保育士の資格を両方取得するメリットは?注意点もご紹介

将来的にキャリアの幅を広げたいと考えている保育士志望者や現役保育士の方々は、専門性の向上と就職先の多様化という課題に直面することが多くあります。
「保育士だけでは将来のキャリアに不安を感じる」「もっと幅広い分野で子どもや家族を支援したい」といった声をよく耳にします。
このような悩みを抱えている方は決して少なくありません。実際に、単一の資格だけでは限られた職場でしか活躍できず、収入面でも思うような成果が得られないケースがあるでしょう。
この記事では、社会福祉士と保育士の両方の資格を取得することで得られる具体的なメリットから、それぞれの資格取得方法、さらには両資格を目指す際の注意点まで詳しく解説していきます。
福祉分野でのキャリア形成において、両資格の取得は今後ますます重要になってくると考えられるため、将来を見据えた資格選択の参考にしてください。
目次
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社会福祉士と保育士の資格を両方取得するメリット
社会福祉士と保育士の両方の資格を持つことで、就職や転職の際に圧倒的に選択肢が広がります。
保育園だけでなく児童相談所や療育施設、社会福祉施設まで幅広い職場で活躍できるでしょう。
それでは、これらのメリットについて詳しく説明していきます。
就職先の選択肢が大幅に広がる
社会福祉士と保育士の両方の資格を持つことで、就職先の選択肢が拡大します。
どちらか一方の資格だけでは働けない職場でも、両資格があることで幅広い施設や機関での就職が可能になるでしょう。
特に注目すべきは、児童福祉分野での需要の高さです。虐待対応や家庭支援においては、保育の現場経験と社会福祉の専門知識を併せ持つ人材が強く求められています。
実際に、児童相談所では保育士資格も持つ社会福祉士が、子どもの発達段階を理解した適切な支援を提供できると高く評価されるケースが増えています。
また、待遇面でも優遇される傾向があります。両資格保有者は専門性が高く評価され、資格手当の支給や昇進の機会において有利になることが多いでしょう。
転職市場においても、複数の資格を持つ人材は貴重な存在として扱われ、より良い条件での就職が期待できます。
キャリアチェンジやキャリアアップにつながる
社会福祉士と保育士の両方の資格を持つことは、将来のキャリア形成において優位性をもたらします。
単一資格では難しいキャリアチェンジや昇進が、両資格の組み合わせによって現実的な選択肢となるでしょう。
両資格を活かしたキャリアアップの具体例として、以下のような道筋が挙げられます。
- 保育士 → 児童相談所のケースワーカーへの転身
- 一般的な社会福祉士 → 児童福祉司としての専門性向上
- 現場職員 → 施設長や管理職への昇進
- 公的機関 → 独立開業(相談事業など)への転換
- 一般企業 → 福祉・教育分野での新たなキャリア構築
また、年収アップの面でも大きなメリットがあります。
両資格を持つことで資格手当が重複して支給されるケースや、より専門性の高いポジションへの配置により、年収が向上することも期待できるでしょう。
さらに、キャリアチェンジにおいても柔軟性が格段に向上します。
保育の現場で疲れを感じた時には相談業務へ、デスクワーク中心の福祉職から子どもと直接関わる保育現場へといった具合に、ライフステージや価値観の変化に応じた働き方の調整が可能になります。
児童関係の仕事で活躍できる
社会福祉士と保育士の両方の資格を持つことで、児童関係の分野において専門性を発揮できるようになります。
両資格を組み合わせることで可能になる児童関係での活躍には、以下のような特徴があります。
- 虐待対応や家庭支援での高度な専門性発揮
- 発達障害児への療育と家族へのカウンセリング
- 児童相談所でのケースワークにおける実践的な子ども理解
- 母子支援施設での親子関係改善プログラムの実施
具体的には、児童相談所での相談業務において、保育士としての現場経験が大きな強みとなります。
子どもの年齢に応じた発達課題や行動パターンを理解しているため、より適切なアセスメントと支援計画の策定が可能になるでしょう。
また、虐待を受けた子どもとの信頼関係構築においても、保育技術を活かした関わり方ができることで効果的な支援につながります。
このように、社会福祉士と保育士の両資格を活かすことで、児童福祉分野において他の専門職では提供できない総合的で質の高い支援を実現できる専門家として活躍できるのです。
保育士から社会福祉士になるための方法
保育士から社会福祉士になる方法は、実務経験のルートと養成施設のルートの2つが主なパターンです。どちらを選ぶかは、現在の状況や将来の計画によって決まってきます。
最も一般的なのは実務経験ルートでしょう。
保育士として相談援助業務に4年以上従事し、かつ社会福祉士国家試験受験資格に必要な実務経験を積む方法です。
一方で、より確実性を求める場合は養成施設への進学も選択肢の一つです。
一般養成施設(1年以上)や通信制の養成課程を利用すれば、保育士の経験を活かしながら体系的に社会福祉の知識を学べます。
どちらのルートを選んでも、最終的には社会福祉士国家試験の合格が必須です。試験は毎年2月に実施され、合格率は約30%〜50%前後となっています。
社会福祉士から保育士になるための方法
社会福祉士の資格を既にお持ちの方が保育士資格を取得する場合、複数のルートから選択することができます。
社会福祉士として活動されている方であれば、保育士養成施設への入学が一般的なルートになります。
4年制大学を卒業している場合は、保育士養成課程のある専門学校や短期大学に入学し、必要な単位を修得することで保育士資格を取得できるでしょう。
この方法では実習経験も含めて体系的に保育の専門知識を学べるため、現場で即戦力として活躍できる力が身につきます。
一方で、保育士試験を受験する方法も選択肢の一つです。
大学卒業の学歴があれば受験資格を満たしているため、独学や通信講座を活用して試験対策を行い、年2回実施される保育士試験に挑戦できます。
この方法なら働きながらでも資格取得が可能で、費用面でも養成施設への通学より抑えることができるでしょう。
両資格を持つことで、児童養護施設や子育て支援センターなどの多様な職場で活躍の場が広がり、福祉と保育の専門性を兼ね備えた貴重な人材として評価されることが期待できます。
社会福祉士と保育士の資格を両方取得する際の注意点
社会福祉士と保育士の資格を両方取得することは魅力的ですが、いくつかの重要な注意点があります。これらの注意点について詳しく説明していきます。
勉強時間を確保することが難しい
社会福祉士と保育士の両方の資格取得を目指す際の最大の課題は、十分な勉強時間を確保することが非常に難しいという現実です。
特に既に働いている方にとって、この時間の確保は深刻な問題となってきます。
両資格の取得には、それぞれ異なる専門分野の知識を身につけなければなりません。
現職を続けながらの学習では、平日は仕事で疲れて帰宅後の勉強が困難になったり、休日も実習やレポート作成に追われたりと、プライベートな時間がほとんど取れなくなってしまいます。
特に子育て中の方や介護をしている方にとって、勉強時間の捻出は更に困難を極めるでしょう。
一日24時間という限られた時間の中で、仕事・家庭・学習のバランスを取ることは想像以上に大変な作業です。
この問題を解決するためには、計画的なスケジュール管理と効率的な学習方法を身につけることが重要になります。
将来的なキャリア計画を立てる必要がある
社会福祉士と保育士の両方の資格を取得する際には、将来的なキャリア計画を明確に立てることが不可欠です。
両資格の取得には時間と労力がかかるため、具体的な目標設定なしに進めてしまうと、途中で迷いが生じて挫折してしまう可能性が高くなるでしょう。
その理由として、両資格を活かせる職場や業務内容が非常に幅広く、どの分野で専門性を発揮したいかによって必要な経験や追加スキルが大きく異なることが挙げられます。
また、資格取得の順序についても計画的に考える必要があります。
現在の職場環境や生活状況を踏まえて、どちらの資格を先に取得するのが効率的か、または同時進行が可能かを判断することが重要でしょう。
まとめ
社会福祉士と保育士の両方の資格を取得することは、福祉業界でのキャリア形成において非常に有効な戦略だと言えるでしょう。
両資格を持つことで得られる最も大きな価値は、多様な福祉現場で活躍できる柔軟性です。
保育園や幼稚園はもちろん、児童養護施設、児童相談所、社会福祉協議会など、子どもと家族を総合的に支援する現場で重宝される人材になれます。
また、管理職や指導的立場への昇進機会も増え、収入面でのメリットも期待できるでしょう。
ただし、両資格の取得には相応の時間と労力が必要です。計画的な学習スケジュールを組み、長期的な視点でキャリア設計を行うことが成功の鍵となります。
福祉の仕事は人の人生に深く関わる責任重大な職業ですが、その分やりがいも大きいものです。
社会福祉士と保育士の両方の知識とスキルを身につけることで、より多くの人々の笑顔と成長を支えられる専門職として活躍していくことを願っています。

日本児童教育専門学校 講師
保育のお仕事コラム 他
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