保育士コラム
保育士コラム
公開日:2023年8月29日 更新日:2024年3月15日
「保育士は給料が低い」「業務量が多くて残業がよくある」など、保育士・保育業界の良くない話を聞いたことはありませんか。これから保育士になろうと考えている方のなかには、そのような話を聞き、保育士として就職することに対して不安を感じている場合もあるでしょう。
実際に、保育業界にはさまざまな課題がありますが、その課題を解決するために国も対策を進めています。改善されつつある課題も多いため、心配しすぎる必要はありません。
本記事では、保育士・保育業界の課題と解決策について説明します。保育士になる前に課題や国が行っている改善策を知っておけば、不安なく働けるはずです。保育業界に対して不安がある方は、ぜひご一読ください。
目次
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保育士・保育業界には、待遇や人手不足、労働環境の問題など、大きく分けて6つの課題があります。しかし課題に対して国はさまざまな改善策を行っており、少しずつ働きやすい職場環境が整えられています。ここからは、保育士・保育業界の課題と改善策について詳しく説明します。
保育士・保育業界の課題の一つに、保育士不足があります。国は、待機児童解消のために保育施設の増設に力を入れています。こども園や特定地域型保育事業なども含めると、保育所の数は2022年時点で全国に39,244箇所あり、2021年と比べて578箇所も増加しています。(※1)
子どもを預けられる保育所が増えると、配置基準を満たせる数の保育士も確保しなければなりません。その影響もあり、2021年の保育士の有効求人倍率は2.50と、全職業の有効求人倍率の1.03と比べると倍近い数値になっています。(※2)
しかし、長らく保育士不足の状態が続いているのが現状です。例えば、保育士の登録者数は2020年の時点で1,673千人なのに対し、保育士として従事している人は645千人ほどしかいません。(※3)資格を取得しながらも、保育施設以外の職場に勤めたり、他職種の仕事に就いていたりする人も多く、なかなか保育士が確保できない状況が続いています。
※1 参考:厚生労働省. 「「保育所等関連状況取りまとめ(令和4年4月1日)」を公表します」.
※2 参考:厚生労働省. 「図表1-2-59 保育士の有効求人倍率の推移(全国)」.
※3 参考:厚生労働省. 「図表1-2-64 保育士の登録者数と従事者数の推移」.
保育士不足を改善するために、国はさまざまな改善策を打ち出しています。例えば、通常は年1回行われる保育士試験を年2回実施したり、保育士マッチング強化プロジェクトを創設し、保育士が足りていない保育所へ求職者をつなげるなどのフォローを行ったりしています。
また、保育士の配置に関わる特例も一時的に制定されました。子育て支援員研修を修了した者や小学校教諭・養護教諭を保育士の代わりに配置できる時間帯など設けることで、職員の充足を図っています。(※)
※参考:厚生労働省. 「保育士の現状と主な取組」.
保育士・保育業界の課題には、待機児童問題もあります。待機児童とは、定員などの関係で保育所に入れず、入園待ちになっている子どものことです。2022年4月時点の待機児童数は、全国で2,944人です。(※)そのうち87.5%が3歳児未満で、特に1歳児と2歳児の割合が多めです。
多くの市区町村で待機児童数は50人未満にまで解消されてきましたが、中には100人以上の待機児童がいる市区町村もあります。子どもの年齢や地域によっては待機児童になってしまう場合もあり、まだまだ改善されたとは言い難い状況が続いています。
※参考:厚生労働省. 「「保育所等関連状況取りまとめ(令和4年4月1日)」を公表します」.
待機児童解消のために、国は各都道府県に待機児童対策協議会の設置を進めています。待機児童対策協議会は、待機児童解消のために保育所の整備や人材確保などの役割を担う機関です。2021年時点で、23都府県に設置が完了しています。(※)
また市区町村をまたいでの連携をとりやすくするため、横展開を担う職員も配置しており、各地域の潜在的なニーズを汲んだ保育事業の展開が進められています。
※参考:厚生労働省. 「待機児童対策について」.
労働環境問題も、保育士・保育業界の課題の一つです。特に仕事量の多さが問題に挙がることが多く、保育士の退職理由の上位に入っています。(※)
仕事量が多い理由は、保護者対応や行事の準備、おもちゃの消毒、連絡帳の記入など、子どもと関わる以外にやらなければならない業務が多いからです。業務時間内ですべてを終えることが難しいと、保育室に飾る壁面を自宅に持ち帰って製作したり、昼休みを返上して事務作業をしたりするケースもあるでしょう。
また子どもがいる間は子どもから目を離せないため、気を張って過ごす時間が長くなります。一息つく間もなく仕事をこなさなければならないため、保育士は業務の負担を感じやすいのです。
※参考:厚生労働省. 「保育士の現状と主な取組」.
保育士の業務負担を少しでも改善するために、国はICT化するシステム導入費用を補助しています。(※)ICT化によって保育の計画や記録、保護者との連絡、登降園管理などの事務作業を効率化でき、業務負担の軽減を図っています。例えば、子どもの出席日数の集計や延長保育料金の計算などの自動化が可能です。これまで手作業で行っていた手間が省けるのはもちろん、計算ミスなどのリスクもなくなります。
また保護者との連携がスムーズになれば、子どもの体調不良といった急な出来事の際にも迅速な連絡が可能です。お迎え依頼の連絡をしようと思ったときに、電話だとつながるまでに時間がかかってしまう場合もありますが、メールやチャットツールによるやりとりができれば、リアルタイムで連絡しやすくなるでしょう。
※参考:厚生労働省. 「保育士の現状と主な取組」.
保育士・保育業界の課題には、待遇の悪さも挙げられます。「給料が仕事の忙しさや責任感の重さに見合わない」と不満を感じるケースが多く、退職理由の上位になる課題の一つです。(※)
日々の活動で必要な製作準備や行事の企画などを自宅に持ち帰って行う必要があっても、給料に反映されないケースもあります。また、キャリアパスが見えづらく、昇給の機会が少ないことも課題です。
※参考:厚生労働省. 「保育士の現状と主な取組」.
保育士の待遇を改善するために、国は処遇改善加算を設けました。処遇改善加算には、以下の3つの種類があります。
勤続年数によって加算額が変わる「処遇改善加算Ⅰ」
分野別リーダーや副主任など役職に応じて加算される「処遇改善加算Ⅱ」
全員が一律で加算される「処遇改善加算Ⅲ」
処遇改善加算によって、保育士の給料は多いと月額約4万円のプラスになる場合もあります。最近は処遇改善の取り組みの成果が現れ始めているため、保育士の平均年収は2013年が310万であったのに対し、2016年には327万円まで向上しました。(※)
処遇改善加算Ⅲは期間限定で行われた施策ですが、今後も継続見込みだと政府から発表されています。これからも、ある程度の処遇改善が期待できます。
※参考:厚生労働省. 「保育士の平均賃金」.
保育士・保育業界の課題には、潜在保育士の多さも挙げられます。潜在保育士とは、保育士の資格を持っているにもかかわらず、保育施設などに就業していない人のことです。結婚・出産を機に家庭を優先して退職したり、自分に合う保育所が見つけられずに保育現場から離れたりと、潜在保育士になる理由はさまざまです。
また、子育てと両立しながら日中の時間帯で保育士として就業したいと考えていても、保育所が求める「早番・遅番に対応できる方」などの条件と合わず、なかなか復帰できないという現状もあります。
国は、保育士・保育所支援センターの拡充を図ることで、潜在保育士の掘り起こし・就業支援を行っています。例えば、就職相談会の開催やコーディネーターの配置などです。就業を希望する保育士と保育所がミスマッチを起こさないよう、きめ細やかなマッチング支援を行っています。(※)
またブランクのある保育士の不安を軽減するために、保育所にも研修などに要する費用を補助しています。ただし、潜在保育士を非常勤として試行的に雇用する場合が条件です。
希望に沿った就業先を見つけることで、潜在保育士が活躍しやすい場を作っています。
※参考:厚生労働省. 「保育士の現状と主な取組」.
職場の人間関係でストレスがかかることも、保育士・保育業界の課題の一つです。(※)職場の人間関係は退職理由の上位に挙がるほど、よく生じる問題です。特に乳児クラスは複数人で担任するケースがほとんどのため、保育観が合わなかったり、コミュニケーション不足による不手際が起きたりすることもあります。そのため、保育士同士の関係性に悩んでしまう方もいるのです。
同期や年齢が近く気の合う先輩がいれば、悩みや不安も打ち明けやすいですが、職場環境によってはストレスをため込んでしまう場合もあるでしょう。保育士は、子どもの命を預かる仕事だからこそ、業務時に不安を抱えやすいため、精神的なケアやサポートも大切です。
※参考:厚生労働省. 「保育士の現状と主な取組」.
保育士のストレスを軽減するために、国は若手保育士や保育事業者などへの巡回支援事業も行っています。(※)保育事業者コンサルタントの配置に必要な費用を部分的に補助することで、保育所などのマネジメント力向上を目指します。
また、若手保育士のスキルアップを目的とし、保育士支援アドバイザーの巡回も行われています。保育士支援アドバイザーは、経験豊富な保育士やソーシャルワークの専門職などが担当します。園外のアドバイザーだからこそ、普段は言い出しにくい悩みを話せる可能性も高いです。保育中に感じた悩みや不安、子どもの対応方法などを気兼ねなく相談できる機会を設けることで、保育士が働きやすい職場環境になるよう目指しています。
※参考:厚生労働省. 「保育士の現状と主な取組」.
保育士・保育業界には、仕事量の多さや保育士の人手不足、給料の低さ、人間関係のストレスなど、さまざまな課題があります。しかし最近では、待機児童解消を目指した国の施策に伴い、保育業界の課題にもさまざまな対策が講じられています。例えば、給料アップのための処遇改善や、業務負担軽減のためのICT化、保育士の確保をするために潜在保育士の掘り起こし・就業支援などです。まだまだ途中段階ですが、今後も保育業界の課題は改善が期待できるでしょう。
社会人からキャリアチェンジで保育士へ
日本児童教育専門学校は、保育士を目指している人を応援しています。本校では、保育士の資格をはじめ、現場で役立つ認定絵本士の資格や幼稚園教諭免許などが取得可能です。一人ひとりの個性に合わせたキャリア支援も行っているため、資格取得から希望に合う就職先選びまでサポート体制は万全です。保育士になりたい方は、日本児童教育専門学校で保育について学んでいきましょう。
日本児童教育専門学校Japan Juvenile Education College
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