保育士コラム

児童養護施設とは?働き方は必要な資格についてわかりやすく解説

児童養護施設は、家庭で生活できない子どもたちが安心して暮らせる場であり、児童福祉施設としての重要な役割を果たしています。そこで働く人々は、生活支援や心のケアを通じて子どもたちの成長を支える仕事をしています。仕事内容は多岐にわたり、保育士や児童指導員などの専門職が連携し、日常生活を支援しています。こうした仕事に就くには、必要な資格や経験が求められるだけでなく、強い使命感も不可欠です。一方で、施設では職員の人手不足や支援体制の強化など、解決すべき課題も多く存在します。 本記事では、児童養護施設での仕事に関心のある方に向けて、求人や採用情報の視点も踏まえながら、必要な知識や資格、仕事の魅力や意義を紹介していきます。
目次
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児童養護施設とは?
児童養護施設は、さまざまな理由から家庭での生活が困難になった児童を受け入れ、安心して過ごせる環境を提供する児童福祉施設です。虐待や保護者の病気・死別、貧困、家庭内不和などが入所の背景として多く見られ、年齢は0歳からおおむね18歳(場合によっては20歳)まで幅広く対応しています。
施設では、相談員や児童指導員が中心となって日常生活の支援を行い、子どもたちの健やかな成長と自立を目指しています。特に、個別対応が重要であり、児童の性格やこれまでの経験、心の傷の深さに応じて支援の方法を柔軟に変える必要があります。
また、施設の形態も様々で、大規模な児童養護施設から家庭的な雰囲気のあるグループホーム、小規模住居型など、子どもたちにとって最も適した環境を整えており、最近では、家庭的養育推進の動きも活発になり、地域との連携も強まっています。
だからこそ、児童養護施設で働くには施設の役割や子どもたちの背景を理解し、向き合う姿勢が第一歩となります。
児童養護施設のお仕事内容
児童養護施設の仕事内容は、子どもたちの食事や入浴、就寝準備といった日常生活の支援から、学校との連絡・宿題の見守り、行事の企画、調理の補助まで多岐にわたります。保育士や児童指導員が勤務時間を分担しながら、昼夜問わずサポートしています。
情緒面のケアでは、信頼関係を築くことが不可欠で、毎日の声がけや一緒に遊ぶ時間、悩みの相談などを通して、子どもたちに安心感を与えることが求められます。時には深刻なトラウマや不安に寄り添い、心理療法士と連携して支援することもあります。
また、施設には「自立支援担当」といった役割もあり、高校卒業後に一人で生活を始める子どもたちへの金銭管理や家事指導、就職活動のサポートなど、社会的な自立を支える取り組みも行われています。就職だけでなく、大学や専門学校への進学を目指す子どもへの学習支援も重要な業務のひとつです。
子どもたちの成長を支えるためには、職員の連携と多職種の協力が欠かせません。
児童養護施設で働くために必要な資格は?
児童養護施設での採用において、職種ごとに求められる資格があります。以下が主なものです。
- 保育士:0歳〜小学生を中心に担当。国家資格が必要であり、専門学校や短期大学、四年制大学で取得可能です。
- 児童指導員:中高生への支援が中心。大学で福祉・教育・心理等の課程を修了した場合に任用されます。
- 社会福祉士:保護者や行政と連携し、相談支援を行う専門職です。
- 心理療法士(臨床心理士、公認心理師):心に傷を抱える子どもたちのカウンセリングを担当します。
- 栄養士・調理師:成長に欠かせない食事を計画・提供し、子どもの健康を支えます。
- 看護師:健康管理や服薬指導、緊急時の対応を担当します。
資格を持たない場合でも、補助的な役割として働きながら経験を積むことが可能です。ただし、長期的に現場で活躍するには、やはり専門性の裏付けとしての資格取得が望ましいです。
配置基準により職員数が決められているため、資格保持者の求人は常に一定数存在し、求人情報には「有資格者優遇」と記載されることも少なくありません。
そのため、自分が希望する職種に合った資格取得や勉強の準備が必要不可欠です。
児童養護施設で働いている人はどんな人?
施設では、保育士や児童指導員だけでなく、相談員、栄養士、心理療法士、看護師など、様々な職種の職員が一緒に働いています。中には、福祉業界以外からの転職や、施設での生活経験を持つ人もいます。
新卒の採用だけでなく、社会人のキャリアチェンジとしての就職も増加傾向にあり、担当業務に合わせた研修も整備されています。年間を通じて行われる職員研修には、児童福祉の基本からケーススタディ、最新の心理ケアまで幅広い内容が含まれます。
特に注目されているのが、働きやすさの向上を目指したシフト制度の見直しや、メンタルヘルス支援の充実です。離職率を下げるため、職場全体でのバックアップ体制も整えられつつあります。
多様な人材がそれぞれの役割を果たしながら、子どもたちの成長と退所後の未来を支えています。
児童養護施設の課題は?
児童養護施設は、現場の対応力が問われる中でさまざまな課題にも直面しています。とくに深刻なのが勤務時間の長さや夜勤体制による職員の負担で、求人があっても採用が追いつかないケースもあります。
また、虐待を受けて入所する子どもや、複雑な家庭背景を持つ子どもも多く、児童一人ひとりに合わせたケアが求められます。生活支援だけでなく、心のケアや行動上の課題への対応も必要となります。
さらに、退所後の支援が不足していることも問題です。自立後に孤立してしまう若者も少なくなく、地域社会との連携やアフターケアの強化が求められており、今後はよりよい職場環境の整備と、福祉教育の充実、社会的な理解が不可欠です。
児童養護施設で働くために
児童養護施設で働くには、保育や福祉に対する知識はもちろん、柔軟な思考と子どもに寄り添う心が大切です。家庭環境が異なる子どもたちと向き合うには、失敗しても根気よく関わる姿勢が必要になります。
現場では、専門職同士の連携が不可欠であり、日常生活の中にこそ信頼関係を築くチャンスがあります。大学や専門学校での学び、ボランティア、実習などの経験が大きな武器になります。
また、児童養護施設での勤務はやりがいと同時に、感情労働の側面も大きく、セルフケアやチームでの共有が欠かせません。時に悩みを抱えることもありますが、仲間と一緒に乗り越える体制が整っていることも多く、自身の成長にもつながります。
だからこそ子どもたちの人生に深く関わるこの仕事には、知識だけでなく強い情熱が求められるのです。
まとめ
児童養護施設は、家庭で生活できない子どもたちにとっての「家」であり、保育士や児童指導員、その他の専門職が協力して日常生活と成長を支援する場です。
働くためには、必要な資格や経験を理解し、子どもたちへの深い理解と希望を持つことが大切です。課題も多くありますが、年間を通じて多くの子どもたちと関わる中で、自分自身も成長できる貴重な場です。
将来、児童養護施設で働きたいと考える方は、まず希望する職種や役割を明確にし、必要な資格を確認した上で、年間を通じたボランティア活動やインターンなどの経験を積むことをおすすめします。入所から退所まで、子どもたちの生活に寄り添うこの仕事は、就職後も日々学びが多く、専門性の高い現場です。
未来を担う子どもたちと共に歩むこの仕事は、きっとあなたにとってもかけがえのない経験となるでしょう。

日本児童教育専門学校 講師
保育のコラム 他
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