保育士コラム
保育士コラム
公開日:2022年10月19日 更新日:2022年10月19日
人間関係は、保育士が仕事を辞めたいと感じる理由として多く挙げられるほど、業務上で感じる悩みの代表ともいえます。どのような職種でも人間関係に関わる悩みはあるものですが、保育士は女性同士が多く、同じ立場の保育士が多いというある意味特殊な職場環境や保護者と関わる機会が多いことによるストレスなど、人間関係で苦労する場面が少なくありません。
そこで今回は、保育士が悩みがちな人間関係における対処法を中心に、保育士同士や保護者との接し方のポイントを解説します。
目次
非表示
仕事をする上で人間関係を築くことは重要ですが、異なる性格や環境を持つ複数の人と円滑な人間関係を築くことは簡単ではありません。保育士の仕事では、保育園に通う子供たちと関わるのはもちろん、さまざまな人と関わる必要があります。関わる人が多いと、その分人間関係に不安や悩みを抱えがちです。そのため、保育士の仕事は人間関係で悩むことが多いものです。新人保育士に限らず、保育士として長く働いていても、人間関係で不安や悩みを抱えた経験がある方は多いのではないでしょうか。そこでまずは、保育士として働いているとどのような人との悩みが多いのかを解説していきます。
各部署で部長や課長、係長など多くの役職がある一般企業と比較すると、保育園にはそこまで細かな役職は多くありません。保育園では園長と副園長、主任の3種類の役職のみで、その他はすべて同じ立場の保育士が横並びという環境が一般的です。しかし、実際は同じ保育士であっても、年長クラスは年少クラスより経験が多い保育士が担当することが多く年長クラスの担任の方が上と扱われるなど、役職がないだけに見えない上下関係が発生することもあります。はっきりとした役職がないと、同じ立場の保育士同士での嫉妬ややっかみが他の職種と比較すると多くなり、職場での人間関係にも少なからず影響します。
また、職員同士で気を遣いすぎてしまう、環境になじめないなどが原因でコミュニケーションがうまく取れない悩みを抱えてしまいがちです。
保育士は、保育園に通う子供たちの保護者とも日常的に接する必要があるため、良好な人間関係を築くことは大事です。そのため、保護者との人間関係がうまく築けないことに対して悩みを持つ保育士は少なくありません。
また、各家庭で異なる価値観や子育ての方針を持つ保護者との関係はとても複雑で、すべてに対応するのは簡単ではないでしょう。しかし、保護者にとっては大事な子供を預かってもらう場所なので、さまざまな要望を保育士に伝えることも珍しくありません。中には理不尽なクレームや無理難題を保育士へ突きつける、いわゆるモンスターペアレントといえる保護者がいる可能性があることも確かです。そのような保護者に対応していると、ちょっとしたことでトラブルにつながることもあり、無理なお願いに対してストレスを感じることも考えられます。
同僚や先輩・後輩保育士をはじめとして、保護者を含めて多くの人と関わる機会が多い保育士の仕事は、何かと人間関係で悩むことも増えてきます。悩みを抱えたままで働くと、精神的にも参ってしまうでしょう。そんなときは、対処法を知っておくだけでも心理的な不安やストレスも軽くできます。
人間関係が悪化する原因の1つは、コミュニケーション不足です。保育士同士での職場でコミュニケーションがうまく取れないだけで、人間関係がギクシャクすることもあり得ます。保育園での業務は一人きりでは進められないので、他の保育士との関係は重要です。人間関係を良好に保つためには、必要なコミュニケーションは積極的に行いましょう。こまめにコミュニケーションを取るだけでも、良い関係を築きやすくなります。
また、相手がどのような態度であっても、サポートをしてもらった場合は常に笑顔でお礼を伝えること、自分がミスをしてしまった場合も素直に誤るよう心がけることも、職場での人間関係をスムーズにするためのポイントです。
三者三様の保護者との人間関係も、保育士の仕事で苦労する点に挙げられます。話をする時間やタイミングが少ない分、うまくコミュニケーションが取れないと悩むことも多いのではないでしょうか。良いコミュニケーションを取るためには、まず保護者と顔を合わせたときに常に笑顔で会話をすることを意識しましょう。ちょっとしたコミュニケーションを毎回取るだけでも、関係性が向上しやすくなります。
また、保護者とやり取りする連絡帳の内容は、保育士の印象を決めてしまうことがあります。子供についてネガティブな内容があったとしても、できるだけ積極的にポジティブな点を伝えることも意識しましょう。ネガティブな内容は、保護者と顔を合わせた際に口頭でやんわりと伝えるのがおすすめです。
人間関係を円滑に進めるには、少なからず自分自身の意識や行動を変えることも必要です。自分が変わることにより相手の意識が変わり、人間関係が好転することもあります。そこで、保育士として働く上でより良い人間関係を築くための3つのポイントをご紹介します。
まず心がけたいのが、常に笑顔でいることです。笑顔の人は親しみやすい印象を演出できるので、常に笑顔でいるだけでも保育園で一緒に働く保育士や保護者からも親しみを持って接してもらいやすくなります。
しかし、常に笑顔でいることは簡単ではありません。少しでも嫌なことがあると、笑顔でいることが難しく、感情が少なからず表情に出てしまうこともあるでしょう。そんなときでも笑顔を絶やさずにいれば、相手から話しかけやすい雰囲気を作れます。自分から積極的に話しかけることに加えて、笑顔でいることにより相手から話しかけられることも増えてコミュニケーションが円滑になることが期待でき、打ち解けるチャンスも多くなります。
人間関係が悪くなったりうまく築けなかったりする原因として挙げられるのが、コミュニケーション不足です。保育園で働いていると、さまざまなタイプの人と出会う機会があります。中には、普段関わることのないタイプの人や、苦手だと感じる人も含まれるでしょう。たとえ苦手な人が相手でも仕事では関わらざるを得ませんが、コミュニケーションが取りにくいからとやり取りをしないままでいると、もやもやとした状態が解消できず、自宅にその気持ちを持ち帰ることはストレスになってしまいます。
そのような状態を打破するためには、苦手なタイプの人や話しかけづらい人が相手でも、勇気を出してコミュニケーションを取ってみることが大事です。最初は苦手、話しかけにくいと感じた人でも、コミュニケーションを取っていくことで思いのほか普通に話せて、スムーズにやり取りができることもあります。そうすれば、ストレスを持ち帰ることもなく人間関係もうまく進められるようになるでしょう。
前述のように、役職が少ない保育士の仕事では同じ立場として扱われる保育士の中でも経験の差や担任クラスなどによって、見えない上下関係が存在することがあります。保育園では複数の保育士で共同して行う業務もありますが、その過程で自分よりも上の保育士に嫌味を言われたり、注意をされたりすることもあります。そのような嫌味や注意をされないよう、保育スキルを向上させるのも1つの方法です。
例えば、ぐずっている子供に上手に対応できるようになる、デスクワークの効率や精度アップ、イベント準備でアイディアを提案するなど、保育スキルを磨いて日々の業務の中で積極的に動いてみましょう。業務の中で目に見えるほどスキルを上げていれば、その努力が上の立場にいる保育士から認められるでしょう。同時に、保育スキルの向上は保護者からの信頼にもつながるので、保育士として働く上で保育スキルを磨いておくことに越したことはありません。
職場の保育士とコミュニケーションを取ろうと努力しても、どうしてもうまくいかないこともあります。苦手な人が相手だと、こちらから積極的に人間関係を築こうとしても話しにくかったり、話が続かなかったりするものです。保育士同士でそのような状態が続く場合は、無理に関わる必要はありません。一緒に職場にいる時間が長い保育士とは必要以上に関わることはないと割り切り、雑談を無理やり長引かせるよりも不自然にならないよう、必要最低限のコミュニケーションを取る程度でも業務上は問題ないでしょう。この場合でも、笑顔を忘れず簡潔にやり取りをするのもポイントです。
ただし、保育士同士よりも業務中に接する時間が短い保護者とのコミュニケーションは、保育士のみならず保育園との間の信頼関係にも関わります。保育士同士との関わりのように必要最低限で済ませることなく、きちんと日常の些細なことでも伝えるよう、コミュニケーションを重要視した方がいいでしょう。
人間関係を良くするためにさまざまな努力をしても、あまり改善が見られないことがあります。自分自身の努力では改善の兆しも見られない場合は、園長や主任など責任者に相談してみましょう。業務上コミュニケーションが必要にもかかわらず、どうしてもうまく人間関係が築けない人との間に入ってくれたりアドバイスをくれたりするほか、異動についても相談できます。現在の職場内では解決しないときは、他の保育園の転職を考えることも選択肢の1つです。
保育士は他の業種と比較すると女性が多い職場で役職が少ない、子供はもちろん同じ立場の保育士や上司、保護者など関わる人も多いという、ある意味特殊な仕事です。同じ立場のはずの保育士でも、表に出ない目に見えない上下関係が存在することもあります。そんな環境で働いていると、保育士同士や保護者との間の人間関係で苦労する場面も増えてきます。
今回ご紹介したように、人間関係に悩みがあるときは保育士、保護者でそれぞれ対処法があります。また、よい良い人間関係を築くためには自分自身の努力もある程度必要です。もしそれでも人間関係が築けず、悩みやストレスを抱えたままの状態が続いているのであれば転職も視野に、まずは今できることで人間関係を築く努力をしてみましょう。
日本児童教育専門学校Japan Juvenile Education College
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-32-15