保育士コラム

保育日誌の書き方&コツを大公開!子どもの成長を記録しよう

毎日の保育の中で、つい忙しさに追われてしまいがち。でもそんな中でも、子どもたちは日々、小さな「できた」を重ねています。 そんな一瞬一瞬を見逃さず、ていねいに記録していくのが「保育日誌」の役割です。 とはいえ、「どんなふうに書いたらいいの?」「時間がかかってしまう…」と不安に感じる方も多いはず。 この記事では、保育日誌の基本的な目的や構成、書き方のコツ、さらには年齢別の例文まで解説していきます。 子どもの成長を見つめるツールとして、保育日誌とじっくり向き合ってみましょう。
目次
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保育日誌の目的とは
保育日誌は、その日の子どもたちの様子や保育内容を記録するものです。
でも、ただの「日記」ではありません。
たとえば
- 今日の子どもたちは、どんな気持ちで過ごしていた?
- どんな遊びをして、どんな成長が見られた?
- 保育士として、どんな関わり方をした?
- 次に活かせそうな気づきは?
こうしたことを文章にして残すことで、子どもの育ちを記録するのが保育日誌の目的です。
また、保育士同士の連携ツールとしても欠かせない存在。
小さな変化や気づきを共有することで、子どもを中心としたチーム保育がより深まります。
保育日誌の主な役割
保育日誌は、子どもたちの「今」を記録し、保育の質を支える大切な役割があります。
主な役割は以下のとおり。
①子どもの成長や変化を見えるかたちで記録する
今日は何に挑戦した?どんな言葉を発した?昨日との違いは?
小さな「できた」を残していくことで、成長の積み重ねを実感しやすくなります。
②保育を振り返り、次につなげるヒントを見つける
自分の関わり方はどうだったか、環境設定は子どもに合っていたか。
自然と保育の質を見直せます。
「反省」で終わらず、「次にどうする?」という前向きな視点も一緒に書き添えることで保育者自身の成長にもつながります。
③チーム保育・家庭との連携をスムーズにする
複数担任やシフト勤務が多い保育の現場では、「保育者同士の情報共有」がとても重要です。日誌はその日の出来事や気になる変化を正確に、偏りなく伝える手段になります。
また、保護者との会話のきっかけにも。
「昨日のあの場面、こんな風に感じたんです」と伝えるツールになります。
④子どもの安全と健康を守るための記録として
体調の変化や生活リズムの把握にも役立ちます。
日々の記録が、いざというときの「気づき」に。
食事・排泄・睡眠といった基本的生活の記録は、日々の積み重ねが命を守る情報になります。
日々の忙しさの中でも、子どもたち一人ひとりの小さな成長や変化を見逃さず、ていねいに記録していくことが、より良い保育につながります。
保育日誌の書き方&コツ
保育日誌を書くとき、「何を書けばいいのかわからない」「時間がかかってしまう」と感じてしまうことも少なくありません。
実は、ちょっとしたコツを押さえるだけで、効率よく、しかも内容の濃い日誌が書けるようになります。
ここでは、保育日誌を書く際の基本的な流れと、押さえておきたいポイントを紹介します。
【保育日誌の基本構成】
● 日付、天候、クラス名、出席人数 ● その日の活動内容と目標(ねらい) ● 子どもたちの様子や反応 ● 保育士の気づきや考察 ● 翌日への課題や引き継ぎ事項 |
書き方のコツ
保育日誌を「ただの記録」ではなく、子ども一人ひとりをよく観察し、その様子を具体的に文章にするために、次のポイントを意識してみてください。
①客観的な事実と主観的な解釈をわけて書く
たとえば
「Aくんは朝から元気に登園し、友だちと粘土遊びを楽しんでいた。」(事実)
「最近は安心感が育ち、自分の好きな遊びに集中する姿が増えてきたように感じる。」(考察)
客観的な行動の描写と、保育者としての主観的な気づきをバランスよく書くと、より読みやすく伝わりやすくなります。
②子どもの「できたこと」や「成長」を肯定的に表現する
「できなかった」ではなく、
「やろうとしていた」「挑戦していた」「少しずつ変化が見られる」といった、子どもが頑張っている過程や努力の様子も前向きに表現しましょう。
たとえば
「〜しようと努力している」「〜に興味を持ち始めている」「〜という成長が見られた」など
③反省点だけでなく、前向きな振り返りを意識する
失敗や課題も、次にどう活かすかを記録しましょう。
「〜が難しかったが、次は〇〇の声かけを試してみたい」といったように、前向きな言葉で終えると気持ちも前を向けます。
④年齢や発達段階に合わせて内容を変える
乳児は健康や生活リズム、幼児は友達との関わりや挑戦したことなど、年齢ごとに注目ポイントを意識しましょう。
- 乳児:睡眠・食事・排泄などの生活リズムを中心に
- 幼児:友だちとの関わりや、言葉・感情の表現などに注目
発達段階ごとの「見どころ」を意識することで、記録の質がぐっと高まります。
効率よく書くためのポイント
保育日誌は毎日のこと。だからこそ、負担になりすぎず、効率よくかつ自然に続けられる工夫も大切です。
- テンプレートやフォーマットを活用する
- 日中の気づきをこまめにメモしておく
- 固有名詞や個人情報の扱いに注意する
日誌は「完璧に書こう」と意識しすぎず、日々の気づきや子どもたちの姿を素直に記録することが大切です。
【例文】年齢別の保育日誌
子どもたちの育ちは、それぞれの年齢・発達段階によって見え方が変わります。
実際にどのように書けばよいか、年齢別の例文を紹介します。
0歳児の例文
【例文】~まだ言葉にならない「サイン」をすくいとる~
今日は雨だったため、室内でゆったりと過ごしました。〇〇くんは、音の鳴るおもちゃをじっと見つめたり、手を伸ばしたりする姿が見られ、好奇心が少しずつ芽生えてきているようです。 △△ちゃんは眠たそうな表情が多く、午前中は静かな環境で安心して眠っていました。 |
【ポイント】
- ミルクや排泄、睡眠など生活リズムの変化を記録
- 声やしぐさ、表情などの非言語的な反応をていねいに
- 保育士との関わりや子どもの反応に注目
- 小さな成長や変化を見逃さず記録する
1歳児の例文
【例文】~自分でやってみたい気持ちが芽生えるころ
園庭でボールを転がしたり、追いかけたりして体をたくさん動かしました。〇〇ちゃんは、初めてボールを持って「ぽーん!」と投げようとする姿があり、手を動かしながら言葉にする様子も見られました。 午睡の前には、ズボンを自分で履こうとする場面もあり、日々の中に小さな「やってみたい」が広がっています。 |
【ポイント】
- 自分でやろうとする姿勢や挑戦したこと
- 食事や排泄、健康面での気づき
- 感情表現や言葉の変化にも注目
- 昨日との違いや成長の積み重ねを意識する
2歳児の例文
【例文】~「じぶんで」「いや!」が大事なサイン~
トイレトレーニングを始めた〇〇くん。今日はパンツを履いたあと、「これ、ぼくの!」と誇らしげに指差していました。 まだ間に合わないこともありますが、保育者の声かけに反応し、自分からトイレへ向かう姿も見られました。 |
【ポイント】
- トイレトレーニングや自立に向けた行動
- 会話や感情表現の変化
- 自分の気持ちや言葉を態度で表す「イヤイヤ」も成長の証
- 友達との関わりや小さなトラブルも記録
3歳児の例文
【例文】~友達の存在が大きくなってくるころ~
砂場での遊びに夢中になっている〇〇ちゃん。今日は友だちと道具の貸し借りの中でトラブルがありましたが、自分から「かして」と言える場面もありました。関わりの中で少しずつ、言葉で伝える力が育っているようです。 |
【ポイント】
- 友達との関わりや社会性の発達
- 自分で考え行動する姿
- トラブルやその後の変化も記録
4歳児・5歳児の例文
【例文】~「考えて動く」育ちが見えてくる時期~
運動会のリレー練習に取り組んでいます。〇〇くんは、初めはバトンの受け渡しがうまくいかず悔しそうにしていましたが、仲間の応援を受けながら「次はもっと速く走る」と前向きな姿を見せてくれました。友だちとのやりとりの中に、挑戦する気持ちと協力し合う力が育っているように感じます。 |
【ポイント】
- 集団活動や挑戦したこと
- 前向きな気持ちや成長を肯定的に記録
- 仲間意識・ルール理解・助け合いなどの視点で記録
まとめ
保育日誌は、保育者としての専門性を言葉にしていく、大切な記録でもあります。
子どもの育ちをていねいに観察し、その日の関わりを振り返ることで保育の質を見つめ直す視点が身につきます。
「忙しくて、つい後回しになりそう…」そんな日もあるかもしれません。
でも、記録を続けることには大きな意味があります。
記録の積み重ねは、保育に根拠を持たせるための土台。そして、同僚や保護者と子どもを中心に繋がるための、大切なツールにもなります。
その日、目の前の子どもに向き合って感じたことや気づいたことを、自分の言葉で記録することが保育者としての成長にもつながります。
日本児童教育専門学校では、保育士資格の取得に必要な知識・技術に加えて、日々の実践を言語化する力、記録から学ぶ力を大切に育てる教育を行っています。
子どもの姿を「見る力」と「書く力」は、保育者にとって欠かせないスキル。
授業の中でも、観察・記録・振り返りのプロセスをていねいに学びます。
まずはオープンキャンパスで、学校の雰囲気や授業の様子を体験してみませんか?
あなたの保育への想いを、確かな力へと育てていきましょう。

日本児童教育専門学校 講師
保育のコラム 他
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