保育士コラム

子どもの発達段階別!年齢に合わせた遊びと学びアイデア集

子どもの成長は、驚くほど個性豊かで多様です。 子どもたちの「やってみたい!」「できた!」という気持ちを大切に育むためには、その時々の発達段階に合った関わり方が欠かせません。 そこで、保育士は日々の保育の中で「この遊び、合っているのかな?」「もう少し年齢に合った学びを取り入れたい」と感じることも。 この記事では、発達段階ごとの特徴を押さえつつ、年齢ごとに適した遊びや学びのアイデアを具体的にご紹介します。 子ども一人ひとりの成長に寄り添う保育のヒントが、きっと見つかります。
目次
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子どもの発達段階とは?
保育の現場にいると、子どもたちの小さな成長に毎日驚かされるもの。
昨日までできなかったことが、今日ふとできるようになったり。
子どもは、年齢とともに身体・心・社会性など、さまざまな面で成長していきます。ただし、そのスピードには大きな個人差があるのが特徴です。
だからこそ、保育士として知っておきたいのが、発達段階という視点。
発達段階とは、子どもが育っていく中で見られる、年齢ごとの発達の傾向や特徴のこと。
たとえば、言葉がどんどん増えていく時期、友だちと遊ぶことを楽しむ時期など、段階ごとの「成長のテーマ」があるのです。
この段階を知っているだけで、
「今はこういう時期だから、この遊びがピッタリだな」
「まだこの力は発達途中だから、焦らず見守っていこう」
そんなふうに、一人ひとりの育ちにていねいに寄り添うことができるようになります。
結果として、子どもにとっても「わかってくれる」「楽しい」「安心できる」環境が整い、より豊かな成長へとつながっていきます。
保育士が発達段階を理解するメリット
子どもの発達段階を理解することは、保育士にとって大きなメリットがあります。
たとえば
- その子に合った遊びや学びを自然に提案できるようになる
- 行動の背景にある理由が見えてくる(=対応が的確になる)
- 保護者にも「今はこういう発達の時期です」と、納得感のある説明ができる
- 小さな成長サインにも敏感に気づけて、その子らしい育ちを見逃さない
発達段階の理解は、保育の「引き出し」を増やす大切な視点です。
特に「なんで泣いてばかりなんだろう?」「どうして輪に入れないんだろう?」といった場面。
発達段階の理解があると、その行動が「問題」ではなく「現段階での成長の姿」として受け止められるようになります。
発達段階の「段階」はあくまでも「目安」
「発達段階」と聞くと、「何歳だからこれができて当然」と思われがちですが、そうではありません。
発達には揺れや個人差があるのが自然で、前後にズレることもあります。
大切なのは、「今、この子はどんなことを大事にしているのか?」という視点を持ち続けること。発達段階は、その子の育ちに寄り添うためのヒントであって「枠」ではありません。
一人ひとりの違いを知ったうえで、ぴったりの関わりを選んでいく。
それが、子どもの「今」に寄り添う保育のはじまりです。
幼児期の発達段階の特徴
子どもの成長は一人ひとり違いますが、発達にはおおまかな流れがあります。
それを知っていると、「この子らしい成長」をより深く理解しやすくなります。
ここでは、保育現場で多く関わる0〜6歳までの子どもたちの発達の特徴を簡単に見ていきましょう。
0歳〜1歳半(乳児期)
この時期は、人とのつながりや安心感が何よりも大切。
まだ言葉は話せなくても、表情や声、手足の動きでたくさんのことを伝えてくれます。
【主な発達の特徴】
- 首すわり、寝返り、はいはい、つかまり立ちなどの運動発達
- 愛着形成期:大人との信頼関係が土台になる時期
- 周囲への興味が少しずつ広がっていく
この「愛着」がしっかり育つと、子どもは「自分は大切にされている」と感じ、自信をもって周囲の世界に関わっていけるようになります。
まさに、すべての発達の土台が育つ時期なのです。
1歳半〜3歳(幼児前期)
一人歩きができるようになり、「自分でやりたい」という意欲が強くなります。
言葉も増え、身の回りのことに挑戦する姿が見られます。
【主な発達の特徴】
- 自己主張や「やりたい」気持ちが強くなる
- 言葉の爆発期で、理解や表現の幅が広がる
- 模倣(まねっこ)や感覚を使った遊びに夢中になる
好奇心が旺盛なぶん、危なっかしい行動や、自己主張の強さに戸惑うこともあるかもしれません。でも、こうした姿の裏には「挑戦したい」「認めてほしい」という気持ちが隠れています。
3歳〜6歳(幼児後期)
お友だちと遊ぶのが楽しくなり、「いっしょに」がキーワードになる時期。
生活リズムも安定し、集団生活の中でのルールやマナーも少しずつ理解できるようになります。
【主な発達の特徴】
- 基本的な生活習慣が身につき、集団の中での活動が活発に
- 友だちとの関わりが増え、ルール理解や社会性が育っていく
- 想像力が豊かになり、ごっこ遊びや創作活動が広がる
この時期は、トラブルやケンカも増える時期ですが、それもまた大切な経験です。
言葉で気持ちを伝えたり、相手の気持ちを知ったりしながら、人と関わる力を育てている真っ最中なんですね。
このように、年齢ごとに発達の特徴や課題が異なります。
保育士は、子どもの成長の「今」を見極めながら、適切な遊びや学びを提供することが求められます。
それでは、これらの発達をふまえて、年齢別の遊びと学びのアイデアを見ていきましょう。
年齢に合わせた遊びと学びのアイデア
子どもは、年齢ごとに心身ともに成長し、発達段階に応じた遊びが効果的です。
それでは、年齢別におすすめの遊びと学びのアイデアを見ていきましょう!
0〜1歳半:愛着形成期
この時期は、保育者との信頼関係を築くことが最も大切。
スキンシップを通じて愛着を深める遊びを意識しましょう。
【おすすめの遊び・関わり方】
● いないいないばあ(視覚的な反応と親との結びつき) ● くすぐり遊び(体感での心地よさを感じる) ● やさしく話しかけながら抱っこ・なでなで(親子の絆を深める) ● 音の鳴るおもちゃで反応を楽しむ(音の刺激で好奇心を刺激) ● 手足を使ったリズム遊び(わらべうたなど)(音と動きで心地よさを育む) |
これらの遊びは、子どもが安心感を得て、周囲の大人を信頼する土台となります。
そして、小さなやりとりが、子どもにとっては「世界を知る第一歩」です。
1歳半〜3歳:感覚遊び・模倣遊び期
自分の体を使って「できること」が増えていく時期。
好奇心旺盛な子どもには、感覚や運動を刺激する遊びがおすすめです。
【おすすめの遊び・学び】
● 水遊び・砂遊び(感覚を刺激) ● おままごと(模倣と想像の世界) ● 積み木・ブロック遊び(構成力・集中力) ● 簡単な衣服の着脱(生活習慣の自立) |
砂場で手を使って山を作ったり、水をすくったりすることで、手先の発達や空間認識力が高まります。
「自分でやってみたい」を大切に見守ることが、主体性を育てます。
3歳〜5歳:運動遊び・構成遊び・ルール遊び期
この時期は、友だちと一緒に遊ぶことや、ルールを守ることを学ぶ大切な時期。
社会性や協調性、想像力を育む遊びを取り入れましょう。
【おすすめの遊び・学び】
● 鬼ごっこ、けんけんぱ(運動・ルール理解) ● ごっこ遊び(役割分担・想像力) ● 粘土や折り紙、工作(創造力と手指の発達) ● グループでの活動(協力や順番を学ぶ) |
鬼ごっこでは走る・止まる・逃げるといった運動能力だけでなく、「ルールを守る」「友だちと協力する」といった社会性も自然と身につきます。
遊びの中で、トラブルや葛藤を経験することも大切な学びです。
5歳〜6歳:ルール遊び・集団遊びの発展
年長児になると、より複雑なルールや集団での役割分担ができるように。
自分たちで遊びのルールを考えたり、友だちと意見を出し合いながら遊ぶ姿も見られます。
【おすすめの遊び・学び】
● リレーやドッジボールなどのチーム対抗遊び ● お店屋さんごっこ(話し合い・役割理解) ● 劇あそびや発表会の準備(表現力・達成感) ● 簡単なルールのボードゲーム(順番・勝敗の理解) |
この時期は、子ども同士でトラブルが起きることもありますが、その経験を通して「相手の気持ちを考える」「自分の意見を伝える」力が育ちます。
遊びの中で自分の役割や責任を学び、小学校生活への準備も進んでいきます。
遊びは、子どもたちの心身の成長に欠かせない大切な時間。
遊びの中で学んでいく力が、将来の社会生活や人間関係にも大きく影響を与えるので、それぞれの発達段階にぴったりな遊びを意識的に取り入れていきましょう!
まとめ
子どもの発達段階は一人ひとり異なり、日々の成長の中でさまざまな変化が見られます。
保育士は、その時々の発達の特徴をしっかりと理解し、子どもが安心して自分らしく過ごせる環境を整えることが大切です。
年齢や発達に合わせた遊びや学びを通じて、子どもたちの「やってみたい」「できた!」という気持ちを大切に育んでいきましょう。
日々の保育の中で、子どもたちの小さな成長や変化に気づき、寄り添うことが、保育士としての大きなやりがいにつながります。
日本児童教育専門学校では、子どもの発達や遊びの理解を土台に、「見て、関わって、言葉にする」実践的な保育力を育てます。
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あなたの「子どもが好き」という気持ちを、未来の力へと育てていきましょう。

日本児童教育専門学校 講師
保育のコラム 他
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