保育士コラム
保育士コラム
公開日:2022年11月22日 更新日:2022年11月22日
子どもたちの健やかな成長を見守る職業である保育士。女性が多く就く仕事のイメージもありますが、近年では男性の数も増えてきました。しかし一方で男性保育士にはある種の偏見があることも。そうしたことが実際に働く人にとってのストレスとなるケースもあります。
本記事では男性保育士が持たれやすい偏見と男性保育士の魅力について解説しながら、偏見に対する対処方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
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保育士は伝統的に女性の仕事というイメージが強いことや、近年の男性保育士や男性教師による女児に対する事件が報道されているという背景があります。このような背景から男性の保育士試験合格者の中でも保育士の職業に就くことに不安を抱えている方もいるでしょう。以下に男性保育士には具体的にどのような偏見があるのか例を見てみましょう。
近年の報道で男性保育士が自身の担当する女児らにわいせつな行為をして逮捕されるという事件が見られ、社会に衝撃を与えています。保育士に限ったことではなく教員などでも生徒へのわいせつ行為が問題となるケースがありますが、被害者の幼さや加害者の立場を考慮すると非常に悪質で残酷といわざるを得ません。
たとえごく一部の人間が起こした事件であったとしても、こうした犯罪がその職業全体に及ぼす影響は計り知れないものがあることを示す一例といえるでしょう。
当然ながら男性保育士の圧倒的多数が真摯かつ懸命に職務を全うしているため、文字通り偏見の代表的なパターンです。
上記のような性犯罪の事例は、男性保育士に対する保護者らの不信感を招いています。当然ながら保育士による子どもたちの保育中は保護者の管理下になく、状況によっては保育士と子どもが一対一になる可能性も否定できません。
そうしたいわば密室の状態で、男性保育士が子どもに対して性的な加害行為をするのではという危惧と恐怖心を保護者らが抱いてしまうような犯罪例があるのも事実です。
そのため、例えば男性保育士に子どものおむつ替えなどをしてほしくないと希望する保護者も中にはおり、偏見が実務の妨げになってしまうケースであるといえます。
男性保育士への偏見でもう一つ根強いのは、この職業が女性の仕事であるというイメージによるものです。
かつて「保母」という呼ばれ方をしていたことからも、極めて母性的な要素が求められる専門職という先入観がまだまだ払拭されていないともいえるでしょう。そのことから男性が保育士をすること自体に警戒心を抱いてしまう人がいたり、上記のような小児性愛者なのではないかという疑念を持ったりといったことが現実に起こり得ます。
「保育士」という呼称から男女の別なく就くことのできる職業であるという感覚は、かなり社会に浸透していますが、一部では定着していない場合があるでしょう。
上記のような偏見は確かに存在しますが、一方では男性保育士ならではの魅力というものがあります。ジェンダーに関する問題ではなく、男性ならではの肉体的要素や同性の保護者とのコミュニケーション等々、現実的なメリットも多く挙げることができます。
そうした男性保育士の持つ魅力の例について、以下4点を見てみましょう。
保育士の仕事というのは体力勝負な面も強いとされています。子どもたちがお昼寝をするためのまとまった数の布団を運んだり、相当な重さの散歩車を押したり、あるいは遊びや保育の中で子どもを抱えたり、力仕事は枚挙に暇がありません。
あくまでも一般論ではありますが男性は女性に比べて筋力が強く、こうした保育士ならではの作業や動作に高い適性があるといえます。一人で何人もの子どもらを担当するため体力も必要で、フィジカルの面でも頑強であることが保育士には求められます。
体力や腕力に秀でた男性の保育士が園にいることで、こうした課題に応えやすくなるというメリットが考えられるでしょう。もちろん女性でも心身ともに頑健な人材が就業していますが、男女のよい意味での個性差がうまく発揮されるケースの一つです。
子どもを狙った犯罪は外部からの脅威として具体的な対策が講じられており、実際に不審者が園に侵入するという事件も起きています。抵抗のできない幼子を狙おうという卑劣な犯罪ですが、保育の現場では女性が多数を占めることから女性を侮っての行為ともいえるでしょう。
男性が施設に常駐していることに対して、そうした危険に対して現実的な抑止力となるパターンがあります。元々が力の弱い者を狙おうとする犯罪者の発想であるなら、抵抗や防衛を受ける可能性を感じさせることはセキュリティ対策につながります。
男性保育士が与えるこうした安心感や一種の頼りがいは、子どもたちや職員の安全を守るためにも非常に大きなメリットであるといえるでしょう。
「男性的」「女性的」といった安易な二元論でのカテゴライズは昨今では考え直されていますが、それぞれの性ならではの良い意味での傾向というものが表れることもあります。
女性保育士は子どもたちにとって保育中には母親代わりのような役回りもあり、細やかな着眼点で接することが魅力の一つです。一方で男性保育士は女性とはまた異なる視点が期待され、ダイナミックな接し方や全体を素早く捉えて危機管理を行う能力に長けているという声もあります。
実際には個人の資質や能力によるところが大きい問題であるため一概にはいえませんが、男女それぞれの視点差がもたらす相乗効果が保育に寄与するといえるでしょう。女性の多い仕事であることからも、男性保育士のそうした視点が好影響となることも期待されます。
男性保育士の魅力のうち性差のメリットが際立つこととして、男性保護者とのコミュニケーションの取りやすさが挙げられます。子どもたちの送り迎えといったことは母親が主に担当するというイメージが強いかもしれませんが、働き方や家族の在り方が多様化している現代ではさまざまなパターンがあります。
男性の保護者にとって同性の保育士がいれば、異性の保育士に比べて言いやすいことや頼みやすいことなどが出てくるのも自然なことでしょう。家庭内においても保護者としての振る舞いや子どもの様子への悩みがある場合も多く、家と園とでの違いなどを心安く相談できるという点においても男性保育士は男性の保護者にとって貴重な存在になり得ます。
家庭にとっても社会にとっても多くの魅力やメリットを持つ男性保育士ですが、これまで述べてきたとおりに根強い偏見が残っていることは否めません。
では実際に保育士として就業した男性がそうした偏見に直面した場合にはどうすればよいのでしょうか。無用なストレスに消耗してしまわないためにも、以下に4つの対処法を見てみましょう。
どのような仕事であっても同じことですが、その職業への信用と働く個人への信頼とは相互に補い合って成立しています。保育士は子どもたちを保育する専門家として保護者らから頼りにされる一方、一部では男性保育士への偏見があることも事実です。
そうしたものを跳ねのけるためにはごく基本的な姿勢として、一徹に自身の職責を全うすることが第一といえます。仕事ぶりが人柄を示すといわれるように、こうした面は資格や実績からだけでは判別がつきません。
当たり前のことですが誠実に、真面目に仕事をしてその様子を好印象として捉えてもらうのが一番の方法といえるでしょう。
これは個人への信頼であって即座に男性保育士全体への偏見がなくなるわけではないかもしれません。しかしこうした真摯な積み重ねによって職業への印象を形作っていくことは重要です。
男性保育士への偏見を解消していく基本的な方法として、積極的なコミュニケーションを心掛けるということも挙げられます。これは主に子どもたちの保護者に対することであり、保育士自身の人柄を知ってもらって信頼感につなげるのは前記の事項に通じることです。また、園に預けている間の子どもの様子は当然ながら保護者には十分分からないため、保育士が積極的に気付いたことや日中の出来事などを知らせることも有効です。このことはしっかりと子どもたちの様子を見守っている証でもあり、保育士の職務への姿勢を保護者が推し量る材料にもなります。
男性保育士へのイメージとしてよく言えば大らか、逆に言えば細やかではないという偏見もありますが、こうしたコミュニケーションの積み重ねはそれを払拭するチャンスとも言い換えられるでしょう。
当然のことではありますが保育士も組織に属しており、園の運営や子どもたちの保育はチーム戦であるともいえます。一人で組を担当するとどうしても保育士と子どもたちという図式になりがちですが、メンバーの一人であるという意識は大切にしたいものです。
男性がまだ少ない保育士の世界ですが、偏見に打ち勝つためにもまずは同じ園の上司などチームの先達に味方になってもらうことが肝要です。万が一男性であるという理由でいわれなき偏見が業務の妨げになった場合、直接の上司らのフォローは不可欠な要素です。
上司が異性であれ同性であれ、普段から職場内でのコミュニケーションを重視して自分自身のことをよく知ってもらっておくことが望ましいといえるでしょう。
保育の業界では男性の絶対数が少ないことを繰り返し述べてきましたが、男性保育士の人材を必要として歓迎する保育園も存在します。
夜間保育園がその好例で、女性の多い保育業界では深夜時間帯に就業できる人材に限りが出てくるため、男性の保育士が歓迎される傾向にあります。また夜間ということでセキュリティ上も男性であることのメリットが活かされ、そうしたニーズが確実に存在するといえるでしょう。
男性保育士への偏見そのものは急に解消できないとしても、男性であることの強みをアピールできるようなこうした職場へと転職することも一つの方法です。またこのような保育園では就業時間帯の加減もあり、給与が通常より高く設定されている傾向のある点も特徴です。
子どもたちを保護者から預かり、その成長を手助けし見守る保育士という職は、未来そのものを守る仕事とも例えられます。
そうしたやりがいに満ちた職業でありながら男性保育士は圧倒的に数が少なく、偏見に直面することも多々あります。しかし非常に貴重な人材であるといえるため、偏見には適切に対処して保育士という尊い職務を全うできるよう、自身の心身を守りたいものです。
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