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保育士修学資金貸付制度とは?貸付内容やメリット・デメリット、利用する際の注意点について解説

公開日:2024年6月26日 更新日:2024年8月30日

保育士修学資金貸付制度とは?貸付内容やメリット・デメリット、利用する際の注意点について解説


保育士を目指している人の中には、金銭面の支援制度を活用したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。奨学金・貸付制度はいろいろなものがありますが、中には保育士だからこそ受けられる貸付制度もあります。

本記事では、保育士修学資金貸付制度の内容と、メリット・デメリット、利用する際の注意点について解説します。金銭面の支援制度を活用して保育士を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

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保育士修学資金貸付制度とは?

保育士修学資金貸付制度とは、保育士を目指す人に対して修学資金や入学準備金などを貸付する制度です。実施主体は都道府県、指定都市、および都道府県等が適当と認める社会福祉法人や一般社団法人、公益社団法人などです。
 
この制度が施行された背景には、保育所への入所を待っている「待機児童」の解消策の推進によって保育士の需要が増加したことと、保育を必要とする子どもが質の高い保育を受けられる環境を構築することが挙げられます。保育資格の新規取得者を確保したり、保育士として再就職を支援したりすることを目的に設けられました。
 
参考:厚生労働省 .「保育士修学資金の貸付け等について」.
 

【東京都】保育士修学資金貸付制度の場合

【東京都】保育士修学資金貸付制度の場合
実施主体によって貸付の金額や条件などが異なるため、保育士修学資金貸付制度を利用する場合は、お住まいの地域の情報を確認することが大切です。
 
ここでは、一例として、社会福祉法人東京都社会福祉協議会が実施する保育士修学資金貸付制度をご紹介します。
 

貸付内容

 
東京都社会福祉協議会が実施する保育士修学資金貸付制度の貸付内容は、修学資金、入学準備金・就職準備金、生活費加算の3つです。
 
それぞれの貸付金額は、下記の通りです。
 

修学資金 月額5万円以内(総額120万円以内)
入学準備金・就職準備金 各20万円以内
生活費加算 生活扶助基準額の住居を基準とし、申込者の貸付申請時における居住および年齢に対応する区分の額に相当する金額以内

 
貸付期間は原則2年間ですが、修学期間が2年を超える場合は、同様の金額内であれば2年を過ぎても貸付を受けられます。また、いずれの貸付も無利子で、6カ月分ずつを年2回交付されます。
 
ただし、生活費加算は誰でも申し込めるものではありません。生活保護受給世帯、またはそれに準ずる世帯であると認められた人のみが対象です。また、貸付金の交付は入学後になるため、入学前に資金が必要な場合は、自分で用意する必要があります。
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金 貸付申込みのしおり」.
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金貸付制度のご案内」
 

対象者

 
東京都社会福祉協議会が実施する保育士修学資金貸付制度は、保育士養成施設に在学している人が対象です。また、在学していても、5つの条件をクリアする必要があります。
 
5つの条件は、下記の通りです。
 
1.都内在住、もしくは都内の養成施設に在籍している
2.学業が優秀である
3.修学資金の貸付けが必要な経済状況にある
4.他県が実施する保育士修学資金制度を利用していない
5.卒業後1年以内に都内にある指定の種別の施設に勤め、5年以上従事する意志がある
 
この貸付制度は、単に資格取得を目指すだけでなく、取得後に保育士として働くことが前提とされています。
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金 貸付申込みのしおり」.
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金貸付制度のご案内」.
 

返還免除の要件

 
東京都社会福祉協議会が実施する保育士修学資金貸付制度では、返還免除の要件が設けられています。
 
全額返還が免除になる要件は、下記の通りです。
 
1.卒業後1年以内に保育士登録を行い、都内の指定の種別の施設で勤め始めた
2.5年間継続して保育士として従事した
 
「5年間継続して」は、月単位で期間を空けていないことを指します。例えば、3月に退職しても、4月中に再就職していれば継続したことになります。また、非常勤勤務でも対象となりますが、年間180日以上の勤務が必要です。
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金 貸付申込みのしおり」.
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金貸付制度のご案内」.
 

【東京都】保育士修学資金貸付制度の申し込み流れ

 
保育士修学資金貸付制度を利用したい場合は、在学している保育士養成施設を通じて申し込む必要があります。
 
ここからは、社会福祉法人東京都社会福祉協議会が実施する保育士修学資金貸付制度の申し込みの流れをご説明します。
 

申し込みからの流れ

 
東京都社会福祉協議会が実施する保育士修学資金貸付制度は、申し込みをすれば利用できるものではありません。東京都社会福祉協議会が書類を受理した後、審査を経て貸付の可否を判断します。審査には4週間ほど期間が必要なため、早く貸付を受けたい場合は、余裕を持って申し込みをしておくといいでしょう。
 
貸付が決定したら、年2回に分けて修学資金が交付されます。返還免除を希望する場合は、養成施設を卒業後、保育士登録を1年以内に行い、指定の種別の施設で保育士として従事します。毎年、継続して従事しているかの確認が行われるため、きちんと手続きを行うことが大切です。
 
なお、養成施設を退学したり、所定の期間を満たす前に退職したりした場合は、返還が必要です。ただし、災害や疾病、負傷など、やむを得ない事由によって返還が難しいときは、返還の猶予を得られます。猶予される期間を設けたい方は、返還猶予事由・返還免除事由に当てはまるか確認の上で、必要な手続きを行いましょう。
 
期間を空けずに指定の種別の施設で5年間従事した場合は、全額返還免除を受けられます。
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金 貸付申込みのしおり」.
 

申し込みに必要な書類

 
東京都社会福祉協議会が実施する保育士修学資金貸付制度を申し込むときは、必要な書類を揃えなければなりません。
 
申込者本人が必要な書類は、下記の通りです。
 
・保育士修学資金貸付申込書
・住民票の原本
・修学費用状況証明書
・連帯保証人の前年の収入を証明する書類
・連帯保証人の住民票の原本
 
該当者のみ必要な書類は、下記の通りです。
 
・他の奨学金を利用している場合は、その奨学金の借入状況が分かる書類
・生計を一にする家族がいる場合は、その人の住民票の原本
・申込者が未成年の場合は、親権者の住民票の原本
 
住民票は、3カ月以内に発行したものが必要です。家族が遠方に住んでいる場合は、書類のやりとりに時間がかかってしまう可能性もあるため、締め切りに間に合うように余裕を持って準備を進めましょう。
 
また、養成施設に入学した時点で45歳以上かつ離職して2年以内の方(中高年離職者)や、生活費加算を申請する方は、別途必要な書類があります。必要なものをよく確認の上で準備してください。
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金 貸付申込みのしおり」.
 

保育士修学資金貸付制度のメリット

 
保育士修学資金貸付制度のメリットは、無利子で借りられることと、条件を満たせば返済の必要がないことです。貸付制度のため返還が前提となりますが、たとえ返還が必要になっても、無利子であれば借りた金額以上の返還は基本的に生じません。
 
また、資格を取得後、条件を満たせば返還が免除されるため、保育士として働き続ける意欲のある方は、金銭的な負担を抑えて資格を取得できます。
 
社会人からキャリアチェンジで保育士へ
 

保育士修学資金貸付制度のデメリット

 
保育士修学資金貸付制度のデメリットは、条件を満たせなかった場合は返還の義務が生じることです。
 
例えば、東京都社会福祉協議会の定める返還期間・方法は、下記の通りです。
 

返還期間 貸付を受けた月数の2倍に相当する期間※入学準備金・就職準備金などを借りている場合は延長可能
返還方法 一括払い、月賦、半年賦、年賦

 
返還免除を受けたい方は、免除となる条件をよく確認の上で、計画的に利用してください。
 
参考:東京都社会福祉協議会.「保育士修学資金 貸付申込みのしおり」.
 

保育士修学資金貸付制度を利用する際の注意点

 
保育士修学資金貸付制度を利用する際の注意点には、入学準備金・就職準備金のみの貸付けは受けられなかったり、所定の期間内に返還できない場合は遅延利子が発生したりすることが挙げられます。
 
また、他の奨学金との併用を考えている場合は別途要件があります。例えば、日本学生支援機構の奨学金との併用は可能ですが、生活福祉資金における教育支援資金との併用はできません。何からの支援制度を利用している方は、併用の可否も事前に調べておきましょう。
 

保育士を目指す方向けの他の補助金・奨学金

保育士を目指す方向けの他の補助金・奨学金
保育士修学資金貸付制度の他にも、保育士を目指す方向けの補助金・奨学金はいろいろあります。
 
ここからは、保育士を目指す方向けの他の補助金・奨学金をご紹介します。
 

日本学生支援機構の奨学金

 
保育士を目指す方向けの補助金・奨学金には、日本学生支援機構の奨学金があります。この奨学金には貸与型と給付型の2種類があり、対象者や貸付内容が異なります。
 
貸与型には無利子の第一種奨学金、有利子の第二種奨学金と入学時特別増額があります。第一種奨学金は月額20,000〜60,000円、第二種奨学金は月額20,000〜120,000円まで貸付を受けることが可能です。返還の目安は、卒業後10年ほどと言われています。
 
一方で、給付型は高校卒業後2年以内の方が対象で、無利子の上に返還の必要がありません。条件により給付金額の差はありますが、月額12,800〜75,800円の給付を受けられます。
 
参考:独立行政法人日本学生支援機構.「奨学金制度の種類と概要」.
 

保育従事職員資格取得支援事業

 
保育士を目指す方向けの他の補助金・奨学金には、保育従事職員資格取得支援事業も挙げられます。この制度は、資格取得や代替職員の雇用にかかった費用の一部補助を受けられるもので、保育施設で働きながら保育士資格の取得を目指す方が対象です。補助の対象になる費用は、保育士試験の対策のために支払った教材費や受講料などです。
 
ただし、補助を受けた場合は、資格を取得後に認可保育所や認定こども園、認証保育所などで1年以上勤務する必要があります。
 
参考:東京都福祉局 魅力ある保育.「保育従事職員資格取得支援事業」.
 

専門実践教育訓練給付金

 
専門実践教育訓練給付金は、働く人にとって中長期的なキャリア形成に資する教育訓練を対象に、受講料の一部が支給される制度です。保育士や看護師、社会福祉士など、業務独占資格の取得を目指す場合は、受講のために支払った金額の50%(年間上限40万円)を、最大3年間支給してもらえます。
 
また、資格を取得し、訓練終了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)を追加支給されます。ただし、教育訓練を途中で辞めたり、規定の期間内に終えられなかったりしたときは、その時点から支給を受けられなくなるので注意が必要です。
 
支給を受けるためには、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練講座を受講していなければなりません。利用を検討している方は、教育訓練を受ける施設が対象かどうかも確認してください。
 
日本児童教育専門学校には、専門実践教育訓練給付金の対象になるコースがあります。保育福祉科昼間コース時短クラス、または保育福祉科夜間主コーストワイライトクラス・土曜クラスが、給付要件に当てはまるコースです。
 
参考:厚生労働省.「教育訓練給付制度」.
 

まとめ

 
保育士修学資金貸付制度は、保育士指定養成施設に在学している人を対象に修学資金、入学準備金・就職準備金などを貸付する制度です。保育人材の確保を積極的に推進するために施行されました。貸付を受けた場合は、卒業後5年間保育士として働けば返還不要です。長く活躍する意志のある方は、金銭的な負担を抑えて保育士資格を取得できます。
 
保育士を目指す方が利用できる補助金・奨学金は、他にも専門実践教育訓練給付金や保育従事職員資格取得支援事業などさまざまです。ただし、学ぶ養成施設によっては対象外になってしまうこともあるため、学校選びの際には制度を活用できる施設かどうかを確認しておくことが重要です。
 
日本児童教育専門学校では、年齢層もキャリアも異なる人たちが保育士を目指して共に学んでいます。多様なコースから自分に合ったものを選択できるため、生活スタイルに合わせて資格取得を目指せるはずです。また、専門実践教育訓練給付金や職業訓練の対象校にもなっています。補助金・奨学金を活用しながら通いたい方も、安心して学べる環境が整っています。
 

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