保育士コラム
保育士コラム
公開日:2022年5月25日 更新日:2024年2月15日
障害を持つ児童の支援がしたくて、児童発達支援管理責任者(児発管)を目指している人もいることでしょう。しかし児童発達支援管理責任者(児発管)になるための要件は複雑です。何から手をつければいいのか、どうしたら良いのか、わからない人もいるのではないでしょうか。
本記事では児童発達支援管理責任者(児発管)の役割や目指し方を説明し、要点を解説したうえで将来性についても触れていきます。ぜひ役立ててください。
目次
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児童発達支援管理責任者とは、略称で「児発管」とも呼ばれる、障害を持つ子どもの保育、療育に関する専門職です。児童福祉法に基づいて設置されている福祉関連の仕事で、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援など、さまざまな障害児支援施設で働きます。
児童発達支援施設では必ず1名以上配置されることが義務づけられており、施設では専門的な知識を活かして、他の職員へ助言や指導を行うものです。
さらに個々の児童に合った支援内容を検討し個別支援計画書を作成する、保護者との面談や連絡などが主な仕事です。施設によっては児童発達支援管理責任者(児発管)が行う事務作業があったり、送迎を担当したりといったこともあるでしょう。
当然、療育や支援の現場に入らなくてはならないこともあり、豊富な知識と体力の双方を必要とする仕事であるといえます。
サビ管とは、「サービス管理責任者」のことを指します。サビ管も個別支援計画書を作成するのが仕事です。つまり主要業務が児童発達支援管理責任者(児発管)と同じであるため、しばしば児発管とサビ管は、混同されることがあります。
ただし、サビ管と児童発達支援管理責任者(児発管)とでは支援対象者が異なるのがポイントです。サビ管は18歳以上の“障がい者”を担当するのに対して、児童発達支援管理責任者(児発管)は18歳未満の“障がい児”を担当します。
関連記事:サービス管理責任者(サビ管)になるためには?
児童発達支援管理責任者(児発管)になるには、実務経験の要件を満たすことに加えて、研修を修了していなくてはなりません。
実務経験の要件については次項で詳しく解説しますが、非常に複雑であることで知られています。平成31年4月からは実務経験の要件が変更され、より複雑化したと感じる人が多いようです。
また研修については基礎研修と実践研修の2種類が求められますが、基礎研修を修了した後、実践研修に入る前に「OJT」という2年以上の実務訓練期間を設けなくてはなりません。さらに児童発達支援管理責任者(児発管)の資格を取得した後にも、5年ごとの更新研修があります。
児童発達支援管理責任者(児発管)の資格を取得するための「実務経験の要件」は、さまざまなパターンがあって複雑ですが、いずれか1種類の実務経験があれば研修に向けて準備することができます。自分が対応可能な方法を選びましょう。それぞれについて詳しく解説します。
※参照:https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf08/documents/jihatukan_ichiran.pdf
まずは、指定された施設で「5年以上の相談支援業務の経験」を積むパターンです。相談支援業務とは、利用者が自立できるよう、助言や指導を行う仕事です。
ここで指定された施設とは、以下のいずれかであると定められています。
・相談支援事業
・相談施設
・福祉施設
・就労支援施設
・教育機関
・医療機関
また、5年以上にわたる相談支援業務のうち、3年以上は「障がい者や子どもを対象とする施設」に在籍していなくてはなりません。
上記に該当するさまざまな施設のうち、
・老人福祉施設
・救護施設
・更生施設
・介護老人保健施設
・介護医療院
・地域包括センター
については、「障がい者や子どもを対象とする施設」として認められないため、注意が必要です。
相談支援業務ではなく、以下の施設における8年以上の直接支援業務の経験でも児童発達支援管理責任者(児発管)への道を開くことができます。
・福祉事業
・福祉施設
・障がい者雇用施設
・教育機関
・医療機関
直接支援業務とは、利用者の食事、入浴、排泄などの介護や、リハビリ、療育など、利用者が日常生活をおくる、あるいは就業するために必要な教育や訓練が含まれます。
なお、これらで直接支援業務の経験を積んでいる人のうち、以下の資格があれば、8年ではなく5年以上の経験で良いと定められています。
・保育士
・児童指導員任用資格
・社会福祉主事任用資格
・精神障害者社会復帰施設指導員任用資格
・介護職員初任者研修以上
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いずれの場合でも、「障がい者や子どもを対象とする直接支援業務の期間」が3年以上必要になります。
上記で紹介したさまざまな施設のうち
・老人居宅介護等事業
・老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護医療院
・療養病床関係病室
・障害者雇用施設の特例子会社および助成金受給事業所
については、「障がい者や子どもを対象とする施設」として認められていないので注意してください。
指定の国家資格等が必要な業務への5年以上の従事実績に加えて、障がい者や子どもを対象とする相談支援業務もしくは直接支援業務への3年以上の実務経験があれば、児童発達支援管理責任者(児発管)になるための実務経験の要件を満たすことができます。
指定の国家資格等とは、以下のいずれかです。
・医師
・歯科医師
・薬剤師
・保健師
・助産師
・看護師
・准看護師
・歯科衛生士
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・視能訓練士
・義肢装具士
・あん摩マッサージ指圧師
・はり師
・きゅう師
・柔道整復師
・管理栄養士
・栄養士
・社会福祉士
・介護福祉士
・精神保健福祉士
これらの資格職で積んだ5年以上の実務経験期間と、障がい者や子どもを対象とする相談支援業務もしくは直接支援業務の期間3年は、重複していてもいいとされています。
2019年から、児童発達支援管理責任者(児発管)の研修制度が変更されました。現行の研修の内容について、特徴を含めて解説します。
基礎研修は「相談支援従事者初心者研修」と「サービス管理責任者等研修」の2つに分けられます。先にご紹介した、いずれかの実務経験を満たす2年前からの受講が可能となっています。
「相談支援従事者初心者研修」は、11時間の講義です。相談支援従事者の役割や、障がい者支援と児童福祉に関連する法的な部分、さらに相談支援に関連するマネジメント手法についてなどの講義があります。
次に受講する「サービス管理責任者等研修」は、15時間にわたる演習を含めた講義研修です。児童支援についての概念や、個別支援計画書の作成方法などが主軸になります。講義だけではなく、サービス提供に関連する演習が行われます。
上記を総合した合計26時間の研修が、基礎研修です。
OJTは、「On the Job Training」の略です。いわゆる現任訓練のことで、実務を経験しながら現場で研修の内容を実践し、学んでいくプロセスに該当します。
基礎研修終了後の相談支援業務、もしくは直接支援業務への通算2年以上の従事が義務づけられており、これを完了すると実践研修へと進むことができます。
実践研修とは合計14.5時間に及ぶ「サービス管理責任者等実践研修」のことで、講義部分と、演習部分に分かれています。分かれているといっても単純な講義部分は1時間しかなく、残りはすべて、演習を交えた講義形式で進められていきます。
最初の講義は、障害福祉の動向に関連するものです。年々変化する現場の動向をつかみましょう。あとはサービス提供、人材育成、さらに地域連携に関連する講義と演習があり、すべての研修を終えると、晴れて児童発達支援管理責任者資格の取得となります。
2019年以降は資格を持っている人も、5年ごとに更新研修の受講が必要になりました。「サービス管理責任者等更新研修」として、13時間の講義と演習が行われます。
障害福祉の動向に関しては実践研修と同じく講義があり、最新の現状を知ることができるでしょう。またサービス提供の自己検証の演習などが含まれ、ステップアップにもつながります。
旧制度での児童発達支援管理責任者(児発管)の取得者は、2023年までの間に更新研修を受講する必要があります。忘れないようにしましょう。
各種研修の申込方法については、勤務する事業所を通じて行うのが一般的ですが、個人の申込も可能です。自治体で問い合わせ窓口を持っていることが多いので、各自で調べてみることをおすすめします。
研修申込の完了後は、研修実施先で選考が開始されます。限られた定員のなかから受講者として選抜されるためには、事業所からの受講推薦が必要になることも多いため、慎重な準備が必要になるでしょう。
児童発達支援管理責任者(児発管)資格を得るために試験などはないですが、研修への遅刻、進行妨害などがあると、受講許可の取り消しや修了不認定になる恐れもあります。
児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事内容のうち、とりわけ重要なのは、児童の成長に合わせた個別支援計画書を作成することです。
個別支援計画書とは児童一人ひとりに対して個別に作成される、支援のガイドラインとなります。アセスメントから子ども自身がどのようなことを希望しているか、家族はどうかを知り、さらにモニタリングで子どもの現状はどうか……といったことを総合的に考えあわせて、支援方針、内容、目標を決めていかなくてはなりません。
さらに保護者の面談や、事務作業などを担当するケースもあります。細かい作業内容については事業所ごとにさまざまですが、児童や保護者とのやりとり、目標の選定といったプロセスに、大いに実務経験が活かされるでしょう。
児童発達支援管理責任者(児発管)が働ける職場は、障がいのある子どもたちに対して療育や自立支援を行う場所です。
代表的なものには児童発達支援、放課後等デイサービスなどの、障がい児通所支援施設があります。
またこれらの通所系サービスだけでなく、訪問系、入所系サービスでの活躍も可能です。入所系サービスにも、知的障がい児施設、自閉症児や盲児、ろうあ児といったさまざまな種類があります。
児童発達支援管理責任者(児発管)の給料は、平成29年の厚生労働省の発表によれば以下の水準となっています。
事業所の種類 | 職員1人当たりの年間給与額(円) |
児童発達支援 | 3,990,877 |
医療型児童発達支援 | 5,876,463 |
保育所等訪問支援 | 4,658,940 |
放課後等デイサービス | 3,298,587 |
福祉型障害児入所施設 | 5,662,130 |
医療型障害児入所施設 | 5,983,824 |
※参照:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2018/03/dl/h0329-2.pdf
厚生労働省の報告を見ると児童発達支援管理責任者(児発管)の給与は、児童指導員よりは高めの水準であることがわかります。
働くエリアによって平均給与には差がある傾向で、首都圏や北関東は特に平均水準が高めとなっているようです。
児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事には、非常に将来性があると考えられます。
なぜなら現状は発達障害の認知度が上がったことを背景として、障がいを持つ児童が増えているためです。児童支援の現場はより個人に合わせた、きめ細やかな対応が必要な時代を迎えています。児童発達支援管理責任者(児発管)は障がい児への発達支援に欠かせない仕事であり、今後も需要は高まっていくことが想定されるのです。
児童発達支援管理責任者になるためには、豊富な実務経験に基づいて得られる知識や、子どものニーズを汲み取る感性も必要です。実務経験と研修で児童発達支援管理責任者の資格を得ることができますが、それまでにたくさんの実績要件が必要になるでしょう。
児童発達支援管理責任者の資格取得を考えているなら、最初のステップとして専門学校で学ぶのも選択肢の一つです。児童発達支援管理責任者への道を着実に歩み出すことができるでしょう。
学校、保育園、施設を往復しながら学べる環境で児童教育を知り、一つずつ資格を取得して、児童発達支援管理責任者を目指してください。
日本児童教育専門学校Japan Juvenile Education College
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