保育士コラム

社会福祉士短期養成施設とは?入学条件や選び方をご紹介

保育士として働く中でキャリアアップや資格取得を検討している時や、福祉分野への転職・進学を考えている時に情報収集する段階で「社会福祉士短期養成施設」に興味を持つことはないでしょうか。
現在の保育の仕事を続けながら、限られた時間の中で新しい資格取得を目指すのは決して簡単なことではありません。
しかし、適切な情報収集と準備を行うことで、効率的に社会福祉分野での就労機会を得ることが可能です。
本記事では、社会福祉士短期養成施設の基本的な概要から入学条件、特徴、選び方まで詳しく解説いたします。
保育士としてのキャリアを活かしながら社会福祉士を目指す方にとって、適切な養成施設選びは将来のキャリア形成において極めて重要な要素です。
正しい知識を身につけて、あなたの理想とするキャリアアップを実現させましょう。
目次
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社会福祉士短期養成施設とは
社会福祉士短期養成施設とは、福祉系大学・短大を卒業した人が対象となる「短期養成施設」で、社会福祉士の国家試験受験資格を短期間で取得できる専門の養成施設です。
一般養成施設が1年から1年半ほどかかるので、半分以上短縮して社会福祉士の受験資格を手に入れることができます。
一般養成施設との主な違いとして、入学対象者や学習期間、学習内容に違いがあります。
これらの詳細については、それぞれの項目で具体的にご説明いたします。
一般養成施設との違い
修業期間においては、短期養成施設が6か月以上であるのに対し、一般養成施設は通学制で1年以上、通信制で1年6か月以上が多いという点が大きな違いです。
一般養成施設が1年から1年半ほどかかるのに対して、短期養成施設では半分ほどの期間で受験資格を取得できます。
入学対象者にも明確な違いがあります。
一般養成施設の入学対象者は以下の通りです。
- 一般の4年制大学を卒業した人
- 一般の3年制短大を卒業し相談援助員としての実務経験が1年以上ある人
- 一般の2年制短大を卒業し相談援助員としての実務経験が2年以上ある人
- 相談援助員の実務経験が4年以上ある人
一方、短期養成施設は福祉系大学・短大を卒業した人が対象となっています。
費用面でも大きな違いがあります。
短期養成施設の平均学費は30〜40万円代ほどと、一般養成施設に比べ安い傾向にあります。
一般養成施設の費用は昼間通学で100万円程度、夜間通学で40〜60万円程度、通信制で30〜50万円程度となっています。
このように、両施設は修業期間、入学対象者、学習内容、費用において明確な違いがあります。
自身の学習履歴や実務経験を十分に確認してから、最適な養成施設を選択することが重要です。
社会福祉士短期養成施設の入学条件
社会福祉士短期養成施設に入学するための条件は、主に2つの大きなカテゴリーに分類されます。
それぞれの入学条件には具体的な要件が設定されており、詳細な履修状況や経験年数の確認が必要となります。
福祉系大学・短大で基礎科目を履修した人
福祉系大学・短大で基礎科目を履修した人は、社会福祉士短期養成施設の主要な入学対象者となります。
この条件を満たす方は、効率的に社会福祉士の受験資格を取得できる代表的なルートといえるでしょう。
具体的な入学条件としては以下の通りです。
- 4年制福祉系大学で基礎科目を履修し卒業した人
- 3年制福祉系短大で基礎科目を履修し卒業後、相談援助員としての実務経験が1年以上ある人
- 2年制福祉系短大で基礎科目を履修し卒業後、相談援助員としての実務経験が2年以上ある人
ここでいう基礎科目とは、厚生労働省が指定する「基礎科目」のことで、各大学・短大で開講されている科目名が異なる場合があるため、注意が必要です。
重要なポイントとして、出願時に必要な科目の履修を証明する書類の提出が求められる場合があります。
この証明書は出身大学や短大に依頼して発行してもらう必要があり、基礎科目を履修したかどうかの判断は各教育機関が行います。
一定以上の相談援助実務経験がある人
一定以上の相談援助実務経験がある人は、指定された施設または事業所で、相談援助業務に従事した経験年数が、短大等卒業の場合は2年以上、短大3年制卒業の場合は1年以上、学歴無しの場合は4年以上ある方が、短期養成施設への入学資格を得ることができます。
実務経験については、実務経験の対象となる施設・事業、職種は「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則」により定められています。
具体的な実務経験として認められるためには、厚生労働省が指定する施設・事業において、相談援助業務に専任(専従)で従事していることが重要な条件となります。
出願時には、該当する方は「実務経験申告書」と「実務経験証明書<個票>」の提出が必要となります。
これらの書類は勤務先に作成を依頼する必要があり、実務経験の内容や期間を正確に証明するものです。
なお、実務経験が見込みの場合でも、入学前日までに実務経験年数を満たす見込みであれば、出願できますが、後日改めて実務経験証明書の提出が必要となりますので、計画的に準備を進めることが大切です。
社会福祉士短期養成施設の特徴
社会福祉士短期養成施設は、福祉系大学や短大で基礎科目を履修した方を対象とした専門的な養成機関です。
社会福祉士短期養成施設について、卒業までの期間や学習内容、費用について解説します。
卒業までの期間
社会福祉士短期養成施設の卒業までの期間は6ヶ月以上が一般的です。
この短期間での修業が可能な理由は、入学対象者が既に福祉系大学・短大で基礎科目を履修しており、社会福祉の基礎知識を習得していることが前提となっているためです。
一般養成施設では学習内容が幅広く設定されているのに対し、短期養成施設では福祉系大学(短大)で学んでいる分、集中的かつ効率的な学習が可能となっています。
学習内容
社会福祉士短期養成施設での学習内容は通信教育形式で構成されており、以下のように3つの学習方法を組み合わせて進めます。
- 自宅で取り組むレポート学習
- 学校で直接指導を受けるスクーリング
- 現場での実践力を身につける実習科目
レポート学習では、毎月出された課題に沿った内容を指定文字数のレポートにまとめ提出し、自宅にいながら進めることができます。
短期養成施設は基礎科目を既に修得している方を対象とするため、一般養成施設より履修科目や学習期間が少なくなっている場合が多いです。
課題の内容は専門的でありながらも、既に基礎科目を履修していることを前提としているため、効率的に学習を進めることが可能です。
スクーリングについては、施設に通う必要があり、「全て自宅にいながら完結する」というわけではない点に注意しましょう。
主にグループ演習方式により、ソーシャルワーカーとしての資質・力量を高める学習(=相談援助演習)を行います。
面接技法やコミュニケーション技術、各種アプローチ理論などの実践的な援助技術を、同じ目標を持つ仲間と共にアクティブに学ぶ貴重な機会となります。
実習科目では、既に相談援助実務経験が1年以上ある方は履修が不要となりますが、実習対象者は実習科目を受講することになります。
このように短期養成施設の学習内容は、通信教育の利便性を活かしながら、スクーリングや実習で対面指導を受ける仕組みになっており、働きながら効率的に社会福祉士の受験資格を取得できる設計となっています。
費用
一般養成施設と比較した場合、以下のように短期養成施設の平均学費は30〜40万円代ほどと、一般養成施設に比べやすい傾向にあります。
施設 | 費用 |
昼間通学の一般養成施設 | 100万円程度 |
夜間通学の一般養成施設 | 80~120万円程度 |
通信制の一般養成施設 | 30~60万円程度 |
短期養成施設 | 30〜40万円 |
一方、通信教育形式の短期養成施設では、基本学費に加え、スクーリング費用や実習費用が別途必要になる場合があります。
実習が必要な場合はさらに実習費用がかかり、通学する際の交通費なども必要になる点に注意しましょう。
社会福祉士短期養成施設の選び方
社会福祉士短期養成施設を選ぶ際には、主に就職実績、サポート体制、アクセスのしやすさという3つの重要なポイントがあります。
これらの3つのポイントについて詳しく説明していきます。
就職実績で選ぶ
社会福祉士短期養成施設を選ぶ際に就職実績は重要な判断材料の一つです。
就職実績を確認することで、その施設が社会福祉士としてのキャリア形成にどれだけ有効かを客観的に判断することができます。
就職実績で選ぶ際の具体的なポイントとして、まず国家試験合格率を確認することが大切です。
近年の社会福祉士国家試験の合格率は約30%前後と難易度は高い傾向でしたが、2023年から2年連続で合格率は上昇しています。
また、就職支援の充実度も重要な判断基準です。
履歴書・面接指導、求人情報の提供、卒業生との交流機会、実習先との連携などが充実している施設は、単に資格を取得するだけでなく、その後のキャリア形成まで見据えたサポートを提供してくれます。
さらに、業界との連携の深さも確認しておきましょう。
福祉業界の関係機関や団体との強いつながりを持つ養成施設では、実習先の確保や就職活動での情報収集がスムーズに行えます。
卒業生の就職後の定着率についても、可能な限り情報を収集することで、その施設での学習が実際の現場でどれだけ役立つかを判断する材料になります。
サポート体制で選ぶ
社会福祉士短期養成施設においてサポート体制は、働きながら効率的に資格取得を目指す方にとって極めて重要な選択基準です。
充実したサポート体制が整っている施設を選ぶことで、限られた時間の中でも確実に学習を進めることができます。
サポート体制で養成施設を選ぶ際の重要なポイントは、まず学習相談窓口の充実度を確認することです。
通信制での学習が中心となる短期養成施設では、分からない点や疑問が生じた際に迅速に対応してもらえる体制が不可欠となります。
また、レポート添削指導の質も重要な判断材料となります。
短期養成施設では主にレポート提出とスクーリングで学習を進めるため、レポートに対する丁寧な個別指導やフィードバックが受けられる施設を選ぶことが成功への鍵となるでしょう。
これらのサポート体制が充実している社会福祉士短期養成施設を選ぶことで、保育士として働きながらでも確実に社会福祉士の受験資格を取得し、キャリアアップを実現することができるでしょう。
アクセスのしやすさで選ぶ
アクセスのしやすさで選ぶ最大の理由は、通信制であっても手続きやスクーリングなどで足を運ばなければいけない機会が何度かあるためです。
社会福祉士短期養成施設の学習形式では、主に自宅でのレポート学習が中心となりますが、スクーリングは施設に通う必要があり、「全て自宅にいながら完結する」というわけではない点に注意しましょう。
このように、社会福祉士短期養成施設をアクセスのしやすさで選ぶことは、効率的な学習継続と経済的負担の軽減につながる重要な判断基準といえるでしょう。
まとめ
社会福祉士短期養成施設で得られる知識と実践的スキルは、幅広い福祉分野での活躍の基盤となります。
こうした学習を通じて身につけた専門性は、今後のキャリアにおいて大きな価値を持つでしょう。
短期養成施設で学んだ知識を活かせる職場は非常に多様で、さまざまな社会福祉分野はもちろん、民間企業やフリーランスなど多彩なフィールドでキャリアを描けるようになります。
具体的には、高齢者向けの福祉施設、児童福祉施設、医療機関、地域包括支援センターなどで活躍することが可能です。
社会福祉士短期養成施設での学びは、単なる資格取得にとどまらず、社会貢献への第一歩です。現在の保育士経験を活かしながら、社会に貢献していることを実感しやすく、やりがいを感じられる職業として、新たなキャリアの可能性を広げることができます。
適切な養成施設を選択し、計画的に学習を進めることで、理想とする社会福祉士としての道を歩んでいけるでしょう。

日本児童教育専門学校 講師
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