保育士コラム

保育士から起業家へ:子育て支援ビジネスの可能性

「もっと自分らしい保育がしたい」「子育てに悩む保護者の力になりたい」 そんな思いを抱きながら、日々子どもたちと向き合っている保育士も多いのではないでしょうか。 最近では、保育士としての経験や資格を活かして、個人で仕事を始めたり、地域の子育て支援を形にしたりと、新しい働き方にチャレンジする人が増えています。 保育士として培った専門性や信頼は、社会の多様なニーズに応える大きな強みとなります。ここでは、保育士資格を活かした起業の可能性や具体的なスタイル、そして起業までの流れを詳しくご紹介します。
目次
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保育士資格を活かして起業はできる?
はい、もちろんできます。
保育士資格は、保育園で働くためだけのものではありません。
近年は、保育のスキルを活かして独立し、個人で働く保育士や、子育て支援の事業を立ち上げる方も増えています。
たとえばこんな思いを持った人たちが起業という道を選んでいます
「理想の保育を、自分の手で実現したい」
「子育ての悩みに寄り添える仕事がしたい」
「もっと自由な働き方を選びたい」
資格と経験を活かしながら、社会に新しい価値を届ける。
そんな選択肢が、今どんどん広がっています。
保育士資格を活かせる起業スタイルとは
起業といっても、そのかたちはさまざま。
自分の強みやライフスタイル、地域のニーズに合わせて、ぴったりのスタイルを見つけることが大切です。
ここでは代表的な起業スタイルを紹介します。それぞれの特徴やメリットを知り、自分に合った道を探してみてください。
フリーランスの保育士
フリーランス保育士は、個人事業主として保育サービスを提供する働き方です。保育園や企業、家庭など依頼に応じてさまざまな場所で活躍できます。
たとえば
- イベント時の一時保育:結婚式や講演会など、短時間の保育サポート
- 企業内保育サポート:オフィス内での保育スペース運営など
- 病児・病後児保育:子どもが体調を崩したときのサポート
- 園の代替スタッフ:保育園の職員が休む際の代替として勤務。
地域のニーズに応じた柔軟な働き方ができ、個人事業主として収入管理も自分で行います。経験を活かしながら、働き方を自分で選べるのが魅力です。
【向いている人・必要なスキル】
● 柔軟にスケジュール調整ができる ● さまざまな保育環境に対応できる適応力 ● 保護者や施設とのコミュニケーション力 ● 簡単な事務処理(契約・請求)や自己管理力も大切 |
「決まった園でずっと働くより、いろんな現場で経験を積みたい」という人におすすめです。
保育施設開設
自分の理想とする保育園や小規模保育所を立ち上げるケースも増えています。
よくある施設のかたち
- 小規模保育所や認可外保育施設
- 地域子育て支援拠点(子育てサロンなど)
- 民間学童や幼児教室との連携型施設
たとえば、「子どもの才能を伸ばすこと」をコンセプトに保育園を設立した事例や、地域と連携した「総合子育てステーション」を開設した事例など。地域の子育てニーズに応えつつ、保育士自身が理想とする保育を実現できるのが大きな魅力です。
【向いている人・必要なスキル】
● 保育に対する明確なビジョンがある ● マネジメント力(職員・施設の運営管理) ● 行政との手続きや補助金申請などの実務力 ● 地域とつながるネットワーク力もあると強み |
「こんな場所があったらいいのに」と思う理想を、現実のかたちにしていく仕事です。
ベビーシッター
ベビーシッターは、比較的はじめやすい個人事業スタイルの一つ。
保育士資格がなくても開業は可能ですが、資格や実務経験があることで保護者からの信頼度が高まります。
働き方の例
- 保護者の自宅に訪問し、家庭の状況に合わせた保育を行う
- 自宅開放型で保育スペースを設けるケースも
- 保育時間は自由に調整可能(夜間・早朝などニーズに応じた対応も)
自宅や訪問型など、働き方も選べるうえ、SNSやマッチングサイトを活用して集客する方法も増えています。
【向いている人・必要なスキル】
● 一対一の関わりを大切にしたい ● 子どもの個別対応が得意 ● 保護者との信頼関係をていねいに築けるコミュニケーション力 ● 自営業者としての責任感やスケジュール管理力 |
「自分のペースで、必要とされる場所に行きたい」そんな人にぴったりです。
子育て支援ビジネス・オンライン講座
保育士の視点を活かし、「子育てを応援する仕事」をビジネスとして展開する方法です。
具体的な活動の例
- 子育て相談・カウンセリング(対面・オンライン)
- 保護者向け講座の開催(離乳食・イヤイヤ期対応など)
- 保育士向け研修の講師
- 親子イベントの企画・運営(リトミック・工作など)
自分の得意分野をベースに、多彩なかたちで展開できます。
オンラインを活用すれば、全国どこからでも活動が可能に。時代の変化に合わせた新しい支援の形です。
【向いている人・必要なスキル】
● 子育て支援に関する幅広い知識や経験がある ● 講座づくりや発信(ブログ・SNSなど)が得意 ● 傾聴やアドバイスなどの対人支援スキル ● 発信力・企画力・オンラインツールの活用力 |
「現場以外のかたちでも保育士として力になりたい」という人に向いています。
保育士が起業する方法
保育士が起業を実現するには、どんな事業形態を選ぶかによって手続きや準備は異なりますが、共通して押さえておきたいポイントを紹介します。
起業の流れを知ることで、具体的なイメージが湧きやすくなるはずです。
①事業の形態を決める
フリーランス、法人設立、個人事業主など自分に合った事業形態を選びます。
②ビジネスプランを策定する
どんなサービスを誰に提供するのか、料金設定や運営方法、集客戦略などを明確にします。
③必要な資格やスキルを確認する
ベビーシッターの場合は特別な資格が不要ですが、自治体によっては「届出」や「研修受講」が義務化されている場合があります。
保育施設(認可・認可外含む)の開設には、施設基準・人員配置・事業計画書の作成・自治体への届出や認可申請など、厳格な法的要件が必須です。
④資金調達・物件選び
開業資金の準備や、施設を開設する場合は自治体の基準を満たす物件選びが重要です。自宅開業の場合でも、専用スペースの整備や安全対策が必要となります。
⑤法的手続きと届け出
個人事業主として活動する場合は税務署への開業届が必要です(通常は開業から1カ月以内が目安)。保育施設開設時は、自治体への認可申請や認可外保育施設設置届など、事業形態ごとに必要な手続きが異なります。
自宅での保育やベビーシッターも自治体への届出が必要な場合があるので、必ず地域のルールを確認しましょう。
⑥集客・広報活動
SNSやHP、マッチングサイトなどを活用し、サービスの認知度を高めます。口コミや実績の積み重ねも大切です。
⑦リスク管理
損害賠償保険(保育事故やトラブル対応のための保険)などの万が一のトラブルに備えたリスク管理も検討しましょう。
まとめ
「起業」という言葉を聞くと、なんだか遠い世界の話に感じるかもしれません。しかし、これまで保育士として積み上げてきたものは、かけがえのない財産です。
子どもとていねいに向き合ってきた時間
保護者と信頼関係を築いてきた経験
そして、誰かの力になりたいというやさしい思い
これらすべてが、起業という道の中での強みになります。
保育士資格を活かした起業は、特別な人だけのものではありません。
働き方も、届けたい思いも、人それぞれ。
だからこそ、あなたにしかできないビジネスのかたちが、きっとあるはずです。
日本児童教育専門学校では、3年間の学びを通して、保育士としての専門性だけでなく、
将来、子育て支援や保育ビジネスに活かせる力も少しずつ身につけていくことができます。
保育士としての経験や学びは、やがてあなた自身の人生を豊かにし、
「こんな働き方がしたい」「こんな場所をつくりたい」という夢を叶える力になります。
「保育士になること」はゴールではなく、スタートです。
あなたがどんな保育をしたいのか、どんな風に子どもたちと関わりたいのか。
その答えを、焦らず見つけていってくださいね。

日本児童教育専門学校 講師
保育のお仕事コラム 他
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