保育士コラム
保育士コラム
公開日:2020年11月30日 更新日:2022年12月13日
児童養護施設とは、保護者による虐待やネグレクト、経済的困窮、死別、逮捕など、何らかの事情で保護者のもとで生活できない子どもたちが入所し、生活をする施設のことです。
そんな児童養護施設では、どのような職種が必要とされており、児童養護施設で働くためにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、児童養護施設で必要とされる職種や必要な資格、就職の方法などについて解説します。
※【動画】児童養護施設とはどんなところ?児教専×聖友学園
目次
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児童養護施設では、児童福祉法によって配置すべき職員が定められています。
児童に対して必要な職員の配置人数の割合は、職種や児童の年齢などによって異なりますが、児童養護施設では、施設長をはじめ、主に次のような職員の配置が必要です。
親などの保護者に代わって、施設で生活を送る18歳まで(場合によっては20歳まで)の児童が健全に生活・成長できるように指導をします。指導というとやや堅苦しいイメージがありますが、着替えや食事、勉強や他者との付き合い方など、生きていく上での基本的なことをサポートするような役割を担っています。
保育士というと小学校入学前の6歳児以下の乳幼児と接するイメージがありますが、児童養護施設では入所しているすべての児童と接します。児童指導員と一緒に児童の生活の指導やサポートを行います。
別名「ファミリーソーシャルワーカー」とも呼ばれ、児童相談所や保護者などと連携をとりながら、施設に入所している児童の家庭復帰へのサポートや、里親委託などへの支援、施設を退所した児童のフォローなどを行います。
虐待を受けた経験があるなど、何らの事情で個別の問題を抱えている子どもに対して個別にケアを行う職員を指します。対象となる子どもだけではなく、保護者への援助なども行います。
入所している児童に対して、カウンセリングなどの心理療法によって心理面のケアを行う仕事です。また、心理療法の専門家という立場から、他の職員へのアドバイスを行ったり、児童だけではなく保護者に対して心理療法を行うこともあります。ケアを必要とする児童が10人以上いる場合は配置が必要です。
疾病予防や薬の投薬、服薬管理、衛生管理など、入所児童の健康管理を行います。乳児がいる場合は、乳児1.6人に対して1人の割合での配置が義務付けられています。
入所している子どもたちの栄養管理や食事の提供を行います。ただし、調理員に関しては、調理業務を全部委託する場合は必ずしも配置の必要はなく、また、栄養士に関しても40人以下の施設であれば配置しないことも可能です。
ここまで、児童養護施設において配置が必要とされている職種についてご紹介してきましたが、それぞれの職種に就くためにはどのような資格が必要なのでしょうか。
職種別に必要な資格の種類と概要をまとめてみました。
児童指導員任用資格をとるためには、特別な試験を受ける必要はありませんが、一例として、
など、「児童福祉施設最低基準」と呼ばれる要件のいずれかを満たしていることが必要です。
保育士資格を取得するには、国家試験を受けるまたは保育士養成機関を卒業するという2つの方法があります。保育士養成機関とは、厚生労働大臣が指定する保育士を養成する学校(大学や専門学校)の事で、卒業とともに保育士資格を取得する事ができます。
保育士試験は、これらの学校を卒業していなくても受験資格があり、国家試験に合格すれば保育士資格の取得は可能です。
ただし、約20%程度と言われる保育士国家試験の合格率を考えると、養成機関に入学する方が保育士になるためには確実な方法かもしれません。
家庭支援相談員になるためには、国家資格である社会福祉士または精神福祉士の資格を取得していること、または、児童養護施設にて5年以上勤務し児童養育業務に従事した経験があることが条件となります。
個別対応職員になるためには、日本臨床心理士資格認定協会が認定する「臨床心理士資格」を取得していることや、心理系の大学院を卒業していることなどが主な条件となっています。
心理療法担当職員になるためには、大学にて心理学を専修する学科やそれに相当する課程を修めた上で卒業していることが条件となります。また、個人や集団心理療法の技術を身に付けていることなども求められます。
嘱託医の場合は、医師であることが前提ですから、大学の医学部で6年間学んだのち、医師国家試験に合格し、さらに臨床研修医として2年以上の経験を積むことが必要です。また、看護師についても、国家資格である「看護師資格」の取得が必要です。
また、受験資格を得るために、4年生の大学や3年生の短大、専門学校などを卒業する必要があります。
栄養士は、4年生大学や短大、専門学校などの「栄養士養成施設」を卒業し、国家資格である「栄養士資格」を取得する必要があります。
また、調理師については調理師学校で1年以上勉強し、卒業すること、または飲食店などで2年以上の実務経験を積み、調理師試験に合格することで調理師免許の取得が可能です。
ここまで、児童養護施設で働く上で必要な資格についてご紹介してきましたが、実際に児童養護施設で働くには、その施設が公立であるか、私立(民間委託)であるかによって違います。
なお、現在公立の児童養護施設というの減少傾向にあり、圧倒的に私立の児童養護施設が多くなっています。
公立の児童養護施設で働く場合は、必要な資格を取得した上で、公務員試験に合格する必要があります。
採用方法は自治体によって違うので、自分の希望する児童養護施設がどのような募集を行っているか、あらかじめ情報を把握しておく必要があるでしょう。
私立の児童養護施設で働く場合は、施設を運営する法人独自の採用方法を行っています。
公立の児童養護施設では公務員試験を受ける必要があるため、基本的にチャンスは年1回しかありませんが、私立の児童養護施設であれば、必要に応じてその都度採用を行っていますし、そもそもの数も多いため、比較的就職のチャンスは多いといえるでしょう。
児童虐待やネグレクトのニュースが連日のように報じられていることからもおわかりのように、児童養護施設に入所する子どもの数は増加傾向にあり、そこで働く職員が必要とされています。
児童養護施設で生活をする子どもたちは様々な問題や心の傷を抱えているケースも多く、サポートする側も悩む場面は少なくなく、大変な仕事ではありますが、子どもたちに生きる希望を与えることのできるものであることは間違いありません。
「未来のある子どもたちの力に少しでもなりたい」そんな想いのある方は、児童養護施設で働くという選択肢についてもぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
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